「アクション」、「オールメンバーズ」、「ありがとう」の3つのAから「プロジェクトA」を推進しているのが横浜環境保全(髙橋義和社長)。同社は1972年2月の設立で、現在は48期目である。だが、髙橋社長は6代目の社長になるという。
そもそもは横浜市でし尿汲取りの仕事をしていた個人事業主たちが出資して設立した会社だ。横浜市が全国に先駆けて廃棄物処理場を民営化するに際して、個人事業主たちが共同で法人化したもの。したがって横浜市の一般廃棄物収集運搬処分の許可第1号である。
現在では一般廃棄物の他に、産業廃棄物収集運搬処分、医療系産業廃棄物収集運搬、資源物収集運搬(リサイクル業)、産業廃棄物中間処理(破砕、溶融)、一般廃棄物再生肥料の製造・販売、瓶・缶リサイクル業、貨物計量業務、その他の環境関連事業を行っている。なお、一般貨物自動車運送事業の許可も取得している。
このような経緯から「横浜市の事業系一般廃棄物では約20%のシェアを占めている。家庭系一般廃棄物は粗大ごみだけを行っている」(髙橋社長)という。事業系一般廃棄物や産業廃棄物、医療系廃棄物では、廃棄物を効率よく分別、保管、運搬できるようにするため、各種容器を使っている。たとえば0.7㎥コンテナ、ジャンカート、ダストボックス、パイプテナーなどである。これらの容器を契約先に置いておき、廃棄物を回収するのである。
同社ではFC展開している飲食店やショッピングセンターなどから生ごみを回収して堆肥をつくる工場も持っている。堆肥は10ℓ袋(重量3㎏)につめて販売している。瀬谷事業所では「1袋100円で無人販売しているが、月に200から250袋ぐらい売れる」(髙橋社長)という。リサイクルループでは、生ごみからつくった堆肥を「道志村(山梨県)の農家と契約して、農産物は横浜ビールのレストランで食材にしている」(髙橋社長)。
また、生ごみを約180℃の温風で乾燥させ、固形燃料にして火力発電所の代替燃料にもしている。
これら一般廃棄物や産業廃棄物の収集をするトラックは約150台。車両は2t、3t、4tのパッカー車、ユニック車、10t脱着装置付きコンテナ専用車、アルミバン車、それに感染性廃棄物など温度管理を要する廃棄物の回収には冷蔵・冷凍車なども揃えている。
面白いのはオリジナルのデザイン車両である。一般廃棄物の収集車は自治体によってカラーが決まっている(越境を防ぐため)。だが、産廃車はカラーが自由である。そこで同社では、地元の小学校の子供たちにぬり絵をさせたり、工業高校のデザイン科の生徒にコンペをさせたり、FM横浜で募集したりして優秀な作品を車両のカラーに採用している。
同社のプロジェクトAのミッションは「未来 そして子供たちのために」で、「環境保全事業を通して地域社会に貢献する」(髙橋社長)というもの。そして2020ビジョンとしては、すべての人たちの明るい未来の実現で、そのためには全社員が一丸となって顧客から信頼され、すべてに感謝し合える企業を目指すとしている。
このようなコンセプトから大学新卒者の定期採用もはじめ、2016年には80人が会社説明会に参加し、面接25人、内定8人で2017年4月入社が8人(うちドライバーが2人)だった。同様に2018年4月にも5人(同1人)が入社している。
準中型免許でも乗務できる車両もあるが、中型免許以上が必要な車両が多い。また、環境関連でも各種の管理者資格などを取得できるようにするため、資格取得派遣研修の制度を確立して人材の育成に努めている。