段ボール製品を首都圏北部中心に配送


コーウン(倉持昌哉社長)の設立は1977年。段ボールケースやシートの製造販売、包装資材などの販売(通信販売なども)をしているコーワ(本社・八潮市)が100%出資する物流子会社として設立された。そのため取扱荷物は段ボール製品がほとんどである。

段ボールは古紙などを購入して原料から製造するケースと、段ボールのシートを購入して製品化する場合がある。コーワが製造・販売しているダンボール製品の種類は、大きく分けるとシングル(単層)3mm、5mm、ダブル(貼り合わせ)5mm+3mmがあり、さらに発注先のオーダーに基づいて大きさが異なる。そのうえ紙の材質の違いなどもあるため、車両の積載効率を考えて配車するノウハウが必要である。

配車担当者は「積める量は分かるがすこし少なめに配車する」(倉持社長)のが、製品を傷めずに納品するコツのようだ。同時にドライバーには、これらの製品を傷つけずに積み、降ろしするスキルが求められる。また、段ボールは紙製品なので雨などに弱い。「出荷場には軒があるが、納品先はまちまちなので、雨の日には製品の上に防水用の紙をのせて納品する」(同)などの努力をしているという。

保有車両数は2t車と4t車を合わせて12台。いずれもバン車である。その他に傭車が20台ある。社員数は26人(パートを含め)で、そのうちの12人がドライバー。ドライバー以外は事務員と、工場の製造工程に出向して出荷関連作業に従事している社員だ。

コーワには大利根工場(埼玉県加須市)、茨城工場(茨城県小美玉市)、それに本社所在地にTPS(トータル・パッケージ・ソリューション部)がある。コーウンではこれらの工場に専属で車両を配置している。大利根工場には自車両10台と傭車が10台、本社に自車両2台、それに茨城工場には傭車20台である。現在は本社に倉庫が併設されているが、元々は工場だったために昔からの外注先があって、外注先からの集荷などの仕事がある。

コーウンは傭車比率が高いのが現状で、「できれば自社便にしたい」(倉持社長)と考えているが、出荷量の季節波動が大きいという課題があるため、一概に自車両比率を高めるわけにもいかない事情もあるようだ。荷物の季節波動は3月、4月、9月~12月が多く、1月、2月、5月~8月は少ないという特徴がある。とくに茨城工場は野菜用の段ボールを製造しているので冬場は出荷量が少なくなるようだ。このような季節変動なども考慮して自車両比率を考えなければならない。

また、荷物の突発的な変動にはスポット傭車での対応も必要だが、「昔はスポット傭車も確保しやすかったが、最近はスポット傭車も難しくなってきた」(倉持社長)。

段ボール製品の納品先は意外と狭域で、「半径50kmぐらい、実際には100㎞ぐらいまで」(倉持社長)という。したがって2工場と本社倉庫から首都圏北部のマーケットを主な配送エリアにしている。千葉県でいえば「湾岸地域あたりまで運ぶが、川崎などは同業の段ボールメーカーと商品を融通しあっている」(同)。納品先の件数は毎日納品から週2回納品など合わせて約200カ所。1コースで2、3件の納品先があり、コースによっては7、8件の納品もあるようだ。配送作業は、朝の4時から5時に出発して昼前後には帰社し、たいていはすぐに翌日配送分を積込むというパターンである。

コーウンでは「ドライバーを多めに確保したい」(倉持社長)と考えているが、そのためには原資を確保することが不可欠だ。そこで車両の回転を上げることで生産性向上を図ろうとしている。