国土交通省の資料によると、2015年度末(2016年3月末)におけるトラック運送事業者数(特積・一般・霊柩・特定)は、6万2176社で、前年度末の6万2637社に対して461社の減少になった。トラック運送事業者は規制緩和後は年ねん増加を続け、07年度末(08年3月末)には過去最高の6万3122社になった。だが、リーマンショック以後08年度末に6万2892社と初めての減少となり、翌09年度も6万2712社と2年連続で減少した。
しかし、10年度は6万2989社と3年ぶりに増加に転じ、翌11年度も6万3082社と2年続けてプラスになった。だが、12年度は6万2936社で再び減少し、以後、13年度は6万2905社、14年度も6万2637社、15年度6万2176社と4年連続の減少となっている。これは国内貨物輸送量が一進一退を続ける一方で、労働時間短縮などのコンプライアンス・コストの負担増、燃料価格の高値での推移、ドライバー確保難による賃金水準の上昇などから撤退する事業者が新規参入を上回るようになってきたのが主要因と思われる。
それに対して事業用車両数は増加している。15年度末の事業用車両台数は137万3776両と、1年間に1万5548両(1.14%)の増加になった。これは後述するように、保有車両台数でみた事業者の規模が全体的に大きくなりつつあることを表している。
15年度における保有車両数規模別の事業者数の増減で特徴的なことは、15年度には保有台数10両以下の小規模事業者数が519社も減少したことだ。また、11~20両規模の事業者も45社減少した。
典型的な中小事業者ともいえる21~50両の規模はほとんど横ばいで、51両以上の規模の事業者数が増加している。
これらから判断すると以下のように業界構造の変化が進行したものと推測される。まず、①10両以下の事業者はコンプライアンス・コストに耐えられず、さらにドライバー確保が難しいために撤退が増えてきた。加えて後継者難といった要因もある。②11~20両規模でも同様の傾向がみられるようになってきた。③それに対して21~50両規模の事業者は何とか踏ん張っているが、2極分化や撤退などの局面に立たされている。④そのうち力のある事業者は保有車両数を増やして規模を拡大している。
以上はあくまで国交省のデータに基づく定量的な面からの解釈に過ぎないが、業界構造の変化をみるための一つの目安にはなるものと思われる。
そこで、さらに業界構造の変化を定量的に分析するため、2000年度末の事業者数を基数とし、事業者数が過去のピークだった07年度末の事業者数、そして15年度末の事業者数を保有車両規模別で比較してみると、次のような傾向がわかった。①リーマンショック以降は事業者数が減少してきた。②50両以下の事業者が減少し、51両以上の事業者が増加している。③全体としては企業規模の大型化が少しずつ進行している。④これは事業者数が減少しているにもかかわらず、車両数が増加していることとも符合する。