ドライバーは在宅勤務ができない ~相互感染防止に細心の注意を~


新形コロナウイルスの感染が拡大しています。そこで物流業界に新型コロナウイルスの影響がどのように出ているかを取材しました。詳細は省きますが、最初は「ほとんど影響が出ていない」といっていた運送会社でも、その後に主要荷主が操業中止などを発表したために状況が一変し、「運ぶ荷物が無くなり大変な事態になった。今後の見通しも立たない」といったケースもあります。 運送会社の場合には、取引している荷主と運んでいる荷物の種類によって影響に差がありますが、ほとんどの輸送分野に何らかの影響があり、しかも影響が拡大しています。そして、日にちが経つにつれてますます深刻さが増しているのが実態です。しかも「今後の見通しが全くたたない」というのが経営者の人たちの共通した認識です。

手洗いイメージ

新形コロナウイルスが1日でも早く終息することを願いますが、そのためには感染防止など自分たちにできることを我慢強く実践するしかありません。手洗いやうがいなどはもちろん、一緒に働いている仲間同士で気をつかい、お互いに感染し合わないように注意することも重要です。

もし感染してしまったら、あるいは感染させてしまったら、お互いに大変です。感染者が出ると会社も一定期間休業になったりしますので、会社の全員に迷惑をかけることになります。それ以上に健康と生命に関わる事態になってしまいますから、何よりも自分自身と家族のことを考えなければなりません。また、きわめて現実的なことをいえば、歩合給が減少したり、あるいはなくなってしまいます。

最近は通勤電車がすいています。在宅勤務や時差出勤などの人が増えているからです。学生も休校などで電車に乗る人が少なくなっています。しかし、トラックドライバーの人たちは在宅勤務ができません。また、トラックの運転中は1人だったとしても、出発前の点呼や荷物を積み込む場所、納品先でも人との接触があります。

このような中で、運送会社とドライバーの人たちは、感染防止にどのような対策をとっているのでしょうか。まず、マスクです。ほとんどの荷主が、ドライバーの人たちにマスク着用を要請しています。運送会社でも従業員のためにマスクを確保しようとしていますが、「どこにも売っていないので困っている」という運送会社の経営者もいます。中には「荷主がマスクを支給してくれる」というケースもあるようです。

マスクのイメージ

人との接触も極力避けた方が良いようです。ある運送会社では「休憩の時でも、休憩所には入らないようにした。トラックの中で各自が休憩するようにして従業員同士の接触もできるだけ少なくしている」といいます。荷主の担当者などとの仕事上の接触や、安全運転では緊張しています。すると会社に帰って休憩中に仲間と話したりしていると、つい無意識のうちに緊張が緩んだりしますから、感染の危険が増すようです。病院に勤務している医療関係者ですら、休憩所で休憩中には気が緩むので感染するケースが多いといいますから、気を付けなければいけません。

最近は決められた場所でしか喫煙できないようになってきました。発荷主や着荷主のところでは、特に気を付けなければなりません。また、自分の会社でも喫煙所以外では喫煙が禁じられていることと思います。ところが喫煙所は狭く、誰かと顔を合わせれば喫煙しながら至近距離で話をします。当然マスクを外さなければタバコは吸えません。このようにみると密閉、密集、密接という「3密」の典型的な場所が喫煙所といえます。

そこである運送会社では、「喫煙所の窓は全開にして、喫煙所への入室から退室までの時間は5分間以内というルールを決めた」といいます。少しでも「3密」状態にならないようにし、さらに長時間とどまらないようにする工夫です。

物流センター業務などをしている、ある事業者では「パートの人が100人ぐらいセンター業務に従事しているが、この人たちを2つに分けて昼休みをずらして取るようにしている。休憩時間も2組に分けて、できるだけ一度に接触する人数を少なくする工夫をしている」といいます。

ドライバーの人たちは物流センターなどに集荷や納品に行くことがあると思います。物流センターの中ではパートの人たちなどがたくさん働いていますので、マスク着用は当然ですが、仕事上で必要な会話でも、少し距離をおいて話をするように気をつけることが重要です。