アートバンライン川崎支店(田中徹支店長)は、引越サービスのパイオニアであるアートコーポレーション・グループの1社で、主に一般貨物輸送の分野を担当している。アートバンライン(木谷誠二社長)の本社は大阪府茨木市で、九州地方から東北地方まで多数の支店があり、全国的な輸送ネットワークを形成している。関東だけでも東京、東京中央、多摩、習志野、成田、埼玉、三郷、川崎の各支店と、アートスタッフィングがある。このうち「川崎支店は2015年10月の開設」(田中支店長)で、比較的新しい支店だ。
アートバンライン全社では800台からの車両を保有しているが、そのうち川崎支店の車両数は65台で、内訳は大型車30台、4t車13台、2t車22台である。また、同支店の従業員数はドライバーが61人、内勤者(パート含む)9人となっている。
川崎支店の業務の内容は、「工場から物流拠点へ、あるいは拠点間の幹線輸送が多い」(田中支店長)。親会社であるアートコーポレーション関連の仕事では、最近増えている単身引越で「関東発で中京向けのセンター間幹線輸送を担当」(同)している。
また、大手ネット通販会社の拠点から配送デポへの輸送を関東圏で行っている(関東の8支店で)。同じように大手宅配便会社の拠点間輸送や、大手家具量販店の家具の配送も受託している。家具の配送は2マンの荷物が多いが、「顧客との接客がともなう一般家庭への配送では、アート引越センターのノウハウを活かすことができる」(田中支店長)。
一方、幹線輸送では西は中京、北は仙台あたりまでで、それ以上の長距離輸送はできるだけ避けるようにしている。「もちろん、フリーでおいしい仕事があれば大阪までの輸送もまれにはあるが、関東発で400㎞以内の仕事を主にしている」(田中支店長)という。
これは全社的な課題だが、「経営の数字を考えると同時に、働き方改革に本格的に取り組む」(田中支店長)という方針のようだ。そのため「従来は大型車や4t車による中長距離も考えに入れていたが、今後は首都圏中心の事業展開にしていきたい」(同)という。
もちろん、近距離輸送でも往復で荷物を確保して実車率を向上することは重要だ。大手ネット通販会社の拠点、デポ間の横持ち輸送のように、1日何便とダイヤが決まっているような業務なら別だが、一般の輸送では帰りはスポットの荷物を組み合わせるようにしなければならない。関東にある他の7営業所と連携して荷物を斡旋し合うようなパターンが多いが、それだけではなく積極的にスポットの仕事を帰荷として確保する努力も必要だ。
田中支店長によると、神奈川、埼玉、千葉の荷物と既存事業者の関係などを分析した結果、「横浜発で埼玉行き、帰りは埼玉発で横浜向けの荷物の開拓をしていきたい」という意向のようだ。また、支店としての今後の事業展開では、得意分野でもある2マンでの家具の配送に力を入れ、2マンで家具の共同配送サービスを視野に入れている。
また、これは全社的な取り組みになるが「大動脈である東名大(東京・名古屋・大阪)は大型車の1.8倍ぐらいが積載できるフルトレーラを導入」(田中支店長)する計画もあるようだ。さらに2、3年の間には、現在の神奈川支店の他に厚木支店、相模原支店の開設も予定されているようで、神奈川県内での地域密着を強めていくという。
そのような今後の展開の中で、「今と同じ仕事を10年先、20年先にできるかというとできない。年齢に応じた働き方、それぞれに合った働き方ができるようにしなければいけない」(田中支店長)。そのため現在、ドライバーと個別面談をし、「これからの働き方などに対するヒアリングを進めている」(同)という。