エムズ(宮﨑慎悟社長)の創業は2012年で宮﨑社長が26歳の時だった。会社設立は2015年9月で、最初はエムズグループという社名で利用運送から始めた。その2カ月後に実運送の会社を買収し、現在のエムズに社名変更している。買収時点では保有車両数が13台だった。なお、エムズグループは現在もグループ会社として存続していて、今後の多様な事業展開の中で活かしていく計画だ。
宮﨑社長は最初、大手家電販売会社の個人宅への配送業務をおこなっていた。2マンで個人宅に納品に行き、製品によってはセッティングなどもする仕事である。そのような関係で独立後も2マンによる家電の宅配の仕事をしているが、現在では家電配送は全部傭車で自車両では行っていない。
同じ2マンの仕事でも家具の配送は自車両で行い、傭車売上分を除くと家具配送が売上の20%を占めている。同社では売上依存の分散化を図っていて、鉄骨やプレカット、建材全般、その他の建材関係が売上の30%。広い意味では建材関連になるがトイレット関係などが30%。重量物20%などとなっている。
エムズ(買収後に現社名に変更)として実運送をスタートしてからまだ約2年半に過ぎない。当初は13台だったが、現在の保有車両数は44台(大型車1台、中型車11台、小型車32台)、社員数は46人でうちドライバーは43人になっている。この間、月に1台ぐらいのペースで増車しており、「昨年は13台増やした」(宮﨑社長)という。
なぜ、取引先が拡大しているのか。「とくに営業はしていない。紹介が多く荷主からグループ会社を紹介してもらったり、銀行からの紹介などもある」(宮﨑社長)。
それだけのペースで増車していてはドライバーの確保が大変だろうと思われるが、「小型車と中型車がメインなので比較的応募者がある。昨年の6月から9月の募集では、実質3カ月間で34人からの反応があった」(宮﨑社長)ほどだ。今年も4月からは5人の入社を予定しているという。
応募者が多いのは比較的賃金が良いのではないかと思われる。原資をみると2t車で3万円を超える運賃収入がある。さらに忙しい時には3万円超で1日2回転させているという。
一方、輸配送のエリアを見ると、地元の羽生の荷主は1社しかなく、久喜、加須、五霞(茨城県)、古河(同)などからの出荷が多い。輸配送先は埼玉県内をメインにして群馬、栃木、茨城といった北関東、それに東京三多摩地区と神奈川である(これから東京23区も始まるようだ)。神奈川はある荷主の仕事で月に1回程度行くぐらいで、可能な限り1日2回転できるような配車をしているという。
今後の方向として、実運送のエムズでは当面「2t車と4t車をメインにして100台にして売り上げ10億円をめざす」(宮﨑社長)という。
また、エムズグループも含めて、2マンのノウハウを活かした新たな事業展開も計画している。それは家具の配送に付加価値をつける事業だ。リペア(修繕など)はやっていたが、これからはハウスクリーニングやリホームの分野への進出も考えていて、具体的に「今年から着手しようとしている」(宮﨑社長)。
さらに、初任診断を自社内でできるようになり、いずれは自社で研修センターを持つという構想もあるようだ。「グループ全体で何をやりたいかというと、皆が集まって楽しいことをやりたい」(宮﨑社長)という。