青果市場を中心に100台規模を目指す

株式会社 パジャンカ(埼玉県春日部市)


パジャンカ(清水良順社長)という社名は「じゃじゃ馬」という意味。直接的にはアウトドアが好きだった清水社長がパジャンカカヤックからつけたというが、間接的には業界の既存の古い慣習などには囚われたくない、といった気概も込められているようだ。

創業者の清水社長は、そもそもは不動産関係の仕事をしていた。しかし、「湾岸戦争によって金利が上がって不動産が売れなくなった」(清水社長)こともあり、佐川急便のドライバーとして働くようになった。そのうち独立した方が良いと考え、4年で佐川急便を辞めて軽貨物自動車運送からスタートした。創立は1995年の10月である。1997年には一般貨物自動車運送の許可を取得した。

当時、力を入れていたのは引越サービス。引越作業だけでなく、エアコンの取り付けや照明器具の販売なども併せてやっていた。なぜ引越サービスかというと、不動産の営業マンをしている昔の仲間たちが、不動産を販売した顧客に引越事業者として紹介してくれたからだ。「営業マンからの紹介だと顧客はほとんど契約してくれた」(清水社長)という。

だが、中小事業者が引越専業でやっていくのは難しい。3月中旬から4月上旬の1カ月に年間引越件数の約3分の1が集中する。その他、年末なども件数が増えるが、需要の波動が大きいために年間を通して安定的に経営するのが難しいのである。

そこで「やっちゃ場(青果市場)に入ることにした。最初は春日部東部市場(現在のさいたま春日部市場)にトラック1台からだった」(清水社長)。その後、市場関係の仕事を中心に事業を展開してきた。一時的には医薬品の輸送などにも参入し、医薬品が売上の約30%、青果物が70%という時期もあったが、現在では野菜輸送がほぼ100%になっている。

保有車両数は42台で、内訳は4t車が36台、大型車が6台である。4t車の約80%は冷蔵車だ。ドライバーは市場に精通しているので、「売帳(うりちょう=取引発生の記録で本来は仲卸の人が書く)の記入まで任されているようなケースがある」(清水社長)。

業務内容は2つに大別できる。1つは、東京の大田市場に青果物を取りに行き、さいたま春日部市場、大宮市場、浦和市場、北足立市場(東京都)、古河市場(茨城県)、東京豊島青果(青果物などの販売会社)などに青果物を運んだり、各市場間の転送の仕事である。もう1つは、産地の農協に引き取りに行く仕事だ。地方の農協から引き取った青果物をスーパーの物流センターに納品したり、カット工場に持ち込む。カット工場からはカットされた野菜を引き取ってスーパーの物流センターに納品する、といった仕事もある。

これら様ざまな出荷場所と納品場所を上手に組み合わせる配車がパジャンカのノウハウといえる。運賃は1回の輸送につきいくらという契約で、1回の輸送は輸送距離とフォーク積みか手積みかなどの作業内容で金額が決まっている。それらの様ざまな仕事を組み合わせて、トラックは1日に3回から5回転しているが、仕事の組み合わせ方で売上が決まってくる。だが、全体的に 輸送距離は短い。運送エリアは埼玉、茨城両県をはじめ、東京、神奈川、千葉、群馬、長野などなので、「1日の走行距離は長くてもせいぜい200㎞程度」(清水社長)である。また、全車両にETCをつけていて、着時間などを考えて高速用するかどうかはドライバーが自分で判断するようにしている。

今後の計画としては、「やっちゃ場1本で車両数を100台ぐらいにしたい。そうなれば車両の稼働効率も上がる。現在は仕事を断っているほどなので荷物はあるが、増車するにはドラバーの確保が前提になっている」(清水社長)という。