社員が働きたい人を連れてくるような会社を目指す


下館陸運(加藤木勇社長)は1971年の設立なので、3年後には50周年を迎える。

加藤木社長が創業者で、最初は下館市場や佐野市場(栃木県)から、地元のスーパーの店舗に野菜を配送したり、東京の築地市場に鮮魚を引き取りに行って、やはり地元のスーパーの店舗に配送する仕事などからスタートした。鮮魚は隣接する栃木県の地元百貨店にも納品していた。

また、引越サービスの分野に参入したのも早かった。会社を設立した約10年後の1982年には、引越専門協同組合に加入している。当時、「宅配便の集荷業務を受託していた事業者たちが引越サービスの分野に入ったが、当社もそのような同業者と歩調を合わせて引越分野に参入した」(加藤木社長)のである。

現在の従業員は58人(正社員47人、アルバイト11人)で、引越シーズンの3月中旬から4月上旬にかけては、アルバイトがさらに20人ぐらい増える。

車両は2t冷凍車、2tバン車、4t冷凍車、4tユニック車、4tバン車、4tウィング車、10t平ボディ車、10tウィング車、トレーラなど50台を保有している。

現在では、運んでいる荷物が創業当時とは異なってきている。引越サービスは現在も大きな柱の1つになっていて、年間を通すと売上の約30%を占めているが、それ以外では大手ホームセンターの仕事が約30%、事務機器関係、コンクリートパイルやポールおよびその資材の輸送、その他となっている。

「大手ホームセンターの仕事では肥料や飼料などの取り扱いが多い」(加藤木社長)。業務の内容は、「岐阜県(本巣市)や宮城県(登米市)、茨城県内の常陸太田市などに引き取りに行き、運んできた商品は本社で一時保管。オーダーに基づいて茨城、千葉、埼玉県内にある100カ所以上のホームセンターの店舗に配送している」(清田信之取締役部長)。

店舗納品は朝8時ぐらいから始めて、オーダー量が多い時にはトレーラで2~3カ所に納品する。1店舗のオーダーが少ない時には、大型車で多ければ8店舗ぐらいに納品する。

このホームセンター関係の仕事はゴールデン・ウィークごろがピークで、さらに夏から秋にかけてもう1つのピークがある。このような繁忙期には、自車両だけでは仕事をこなせないので、傭車で対応している。

事務機器関係では、「埼玉県川口市の倉庫から栃木県小山市の販売会社のデポへの転送の仕事と、デポから茨城、栃木、群馬県内への配送を行っている。配送先は事務機器の販売代理店と、その先のお客への直接納品の2つのケースがある」(加藤木社長)という。

さらに下館陸運ではコンクリートパイルやポール、その関連資材の輸送もしている。コンクリート製品を製造しているメーカーの工場が筑西市内にあるが、これらの工場から積込んで、土浦や栃木県鹿沼などに輸送する。

先述のように引越サービスのピークは3月中旬から4月上旬(年間引越需要の約3分の1が集中)。事務機器も同じように年度末から年度初めにかけてが需要のピークで、さらにホームセンターの肥料や飼料はゴールデン・ウィークがピークと、この時期は下館陸運にとっては最繁忙期になる。このような繁閑の差を埋めるのが加盟しているローカルネットである。繁忙期には車を探し、閑散期には荷物を探す、という活用をしているようだ。

下館陸運では今後の会社ありかたとして、「いま働いている人たちが、働きたいという人たちを連れてきてくれるような会社にしていきたい」(石川扶佐枝専務)という。