平ボディやユニック車の分野で新規開拓に取り組む


翔永輸送(長谷川永一社長)の設立は2011年。現在の従業員数は35人(パート・アルバイトを含む)で、保有車両数は29台(10t車4台、8t車1台、4t車13台、2t車10台、1t車1台)である。

同社で特徴的なのは、保有車両が平ボディ車とユニック車という点だ。車両の約4分の1がユニック車である。最近は平ボディ車を保有している運送会社が少なくなってきた。そのような中で翔永輸送は、平ボディ車の需要に対応することができる貴重な事業者ということができる。平ボディやユニック車という保有車両の特徴からも分かるように、翔永輸送の仕事は建築用資材の輸送が多い。売上の約70%を建築用資材の輸送で占めている。

建材以外ではクレーンを運んでいる。これはボディメーカーがトラックに取り付けてユニック車にするためのクレーンである。したがってクレーンの納品先はボディメーカーの工場などになる。ボディメーカーの工場は関東一円にあるが、同社では北関東への輸送が多いという。その他の仕事としては、ローカルネットやキットなど求車・求荷システムの仲間で、親しい同業者から斡旋された仕事もしている。また、同社は倉庫業も行っていて、テント倉庫を持っている。このテント倉庫は、倉庫として貸している。

翔永輸送が運んでいる建築用資材は、戸建住宅やアパートなどの集合住宅用の建材で、ビル建築に使用される資材ではない。そのため保有車両の多くが4t車と2t車になっている。大型車では入れない現場があるからだ。

建築用資材といっても同社で取り扱っている製品はアルミサッシ、鉄骨パネル、鉄骨梁、木材、便器や浴槽など多彩である。また、それぞれの製品によって取引先が違う。それらの荷主の中でもメインの取引先の場合、隣接する白井市にある荷主の物流センターから出荷して、関東一円の建築現場に納品している。

このように製品ごとに取引先が違い、それに伴って出荷場所も異なる。したがって「荷物の積込場所は20カ所もあり、中には群馬県の方の積込場所もある」(竹内康治部長)という。もちろん群馬まで空車で集荷に行くわけにはいかないので、集荷場所の近くに納品に行っている車両を上手に組み合わせる。このように車両と荷物の最適な組み合わせが損益の分かれ目になる。

仕事の条件によっては大型車で提携先の事業者に大量に運んで、協力会社を起点にして配送する、といった効率的な配車もしている。

繁忙期には夜中の出荷などもあるが、通常は早朝3時半から点呼をし、2便がある場合には車両を2回転させることもある。配送先への納品時間は、ほとんどが「現場の仕事が始まる前」(竹内部長)である。

現在のところ建築戸数が多く、仕事は順調だ。だが、翔永輸送ではこのままの景気が続くとは楽観していない。そこで景気の変動にも対応できるように、「建築関係の売上ウェイトが高すぎる。東京オリンピックまで保有車両数などのキャパは現状維持として景気動向を見極める」(長谷川社長)。新規開拓を進めるが平ボディとユニック車という保有車両の特徴が活かせる分野の荷主を拡大することが重要と考えている。

そのためには「過去にスポットで仕事を請けた荷主や、人を介して会ってみないかという話もある。また、これからは新築ではなく補修資材などの分野にも力を入れたい」(長谷川社長)としている。