冷凍ワゴン車のニッチ市場開拓に尽力


道央物流(木村茂信社長)の設立は1993年で、そもそもは野菜などの食材を会員制で個人宅に宅配販売している会社の仕事からスタートした。この荷主が神奈川センターを厚木市に開設するのに伴って(その後、座間市に移転)、その仕事を請けるために先代社長が北海道から厚木市に来て会社を設立したという経緯もあって「道央」という社名にした。

配送代理店として会社設立以来、宅配業務を行ってきたが一昨年5月にこの荷主から撤退している。だがドライバーは宅配だけではなく会員拡大もしてきた。そのような長年の経験をもったドライバーがいるので、同社には納品先での接客などのノウハウがある。

現在の保有車両数は1t冷凍ワゴン車5台、2tショート冷蔵車8台、2tショート冷凍車6台、2tロング冷凍車(ゲート車)1台、3tワイドロング冷凍車(ゲート車)4台、2tロングドライ車1台、2tワイドロングドライ車(ゲート車)1台、3tワイドロングドライ車(ゲート車)1台、軽自動車2台(うち冷凍車1台)の29台で、従業員数は32人にアルバイトが2人である。

冷凍車と冷蔵車が多いことからも分かるように、取り扱っている荷物は冷凍・冷蔵食品が約80%、ドライの製品が20%となっている。商品の内訳をみるとハム・ソーセージなどや、乳製品などが多い。また、ドライの商品は飲料製品や菓子などである。

創業当時から行っていた会員制の宅配部門は、この約1年半余でハムなどの輸送にシフトさせてきた。また冷凍商品、冷蔵商品、ドライ商品に限らず、物流センターから店舗への配送が主たる業務になっている。同社が配送を担当している地域は取引先によって異なるようだが、いずれの仕事も配送エリアは神奈川県内に徹している。

同社では、大型車を保有していないことからも分かるように、長距離輸送は行っていない。したがって、県内配送なので車両によっては1日2回転するような運行形態もある。だが、取引形態はチャーター契約が基本で、労働時間は8時間から12時間となっている。

道央物流の基本的な方針としては、「ドライの製品から冷凍・冷蔵輸送に少しずつシフトしていく」(星野仁部長)という。したがってドライ車両の代替えでも、新規に導入するのは冷凍車である。

今後、道央物流が力を入れて市場開拓しようとしているのが、1t冷凍ワゴン車の分野だ。この冷凍ワゴン車向けの荷物は意外と多いという。というのは従来、軽トラック2台で運んでいたり、積載効率が悪くても小型車(2t車)をチャーターして運んでいた荷主がいるからである。いわば「軽トラ以上で小型車未満」のロットの荷物ということになる。

同社がこの分野に参入したのは一昨年の11月ぐらいからで、宅配から撤退して新たな仕事を開拓する必要性があったからでもある。だが仕事を始めてみると有望なことが分かってきた。現在は5台の冷凍ワゴン車を保有し、そのうちの2台がチャーター契約、2台は2社の荷主の仕事を組合せた定期の仕事をしている。また1台はスポット需要に即座に対応できるように備えている。

そこで同社では、今後この市場に力を入れていこうとしている。その理由はいくつかある。

まず人の面では、「未経験の人の入社が多いが、ワゴン車なら新しい普通免許でも乗務できる」(星野部長)。また、かりに軽トラック2台分の荷物を1.9台分の運賃で請けても利益率が高いこと。さらに比較的短時間の定期の仕事にスポットの仕事を組合せれば生産性が高いこと、などである。