アイディール(山川淳社長)の設立は約2年半前の2016年3月なので、まだ若い会社である。社名のアイディールは「理想」で、理想的なビジョナリーカンパニー(先見的企業)を目指す、という目標を掲げている。
創業者の山川社長は10数年間、中古車販売や整備・修理などをしている会社で働いてきた。だが、「常々、独立して起業したいと考えていた」(山川社長)という。たまたま、勤めていた会社の近くに運送会社ができた。整備などの仕事を通してその運送会社と関係ができ、さらに知り合いの運送会社を紹介してもらうといったように、運送業界とのつながりが拡がっていった。このようなことから「自動車販売などの経験と、運送業界の知識を結びつければ、良い会社ができるだろう」(同)とアイディールを設立したのである。
同社の事業内容は、新車・中古車の販売やリース、貨物軽自動車運送業、経営コンサルタント業、損害保険代理店業となっているが、現在の事業のメインは売上の70~80%を占める貨物軽自動車運送業だ。「最初は軽自動車運送で売り上げのベースをつくることに力を集中したから」(山川社長)である。そのため経験豊富な車の販売やリースには、これまであまり積極的に関わってこなかった、という。経営の基盤がある程度できてくれば、事業の多角化を図るつもりのようである。
事業のメインである貨物軽自動車運送についてみると、同社の支配車両数は約30台。 約70%が自車両で自社ドライバー、30%が軽トラ自営業者への外注となっている。
貨物軽自動車事業のメニューには、宅配便、ルート便、企業専属、チャーター便、スポット便、チルド・クール便、単身引越がある。まず宅配便からみると大手宅配便事業者2社の宅配業務で、いずれも船橋市内の配送を受託している。「以前は都内の宅配も請けていたが、距離が離れると労働時間などの問題が出てくるので船橋市内に限定した」(山川社長)。
また、宅配では大手通販会社の仕事も、デリバリー・プロバイダー2社から請けている。担当しているのは西船橋エリアである。
ルート便は、船橋市場の近くに漬物を販売してる荷主があり、老人ホームなどにルート配送している。これは施設内で食事を作っているところにまとめて納品するもので、「曜日によってルートが決まっている」(山川社長)という。チャーター便は、工場や現場などに緊急に運ぶ荷物で、軽トラックの典型的な仕事といえる。
チルド・クール便は冷凍冷蔵の荷物で、スポット的に入ってくる食品輸送などが多い。また、チルド・クール便では、「病院を回って検体を回収し、大手宅配便事業者のクール便で送る」(山川社長)仕事もしている。単身引越は、地元の不動産会社と提携して独自に行っているもので、「家具や家電つきのマンションなどに引っ越す人を対象にしている」(同)。単身引越はレギュラーの仕事の空いた時間帯などに組み込んで稼働効率を高めるのに良い。
同社ではポスティングも行っている。自社の制服で仕事をしているドライバーに、配送エリア内でポスティングをして、収益性の向上を図っているという。
アイディールの当面の課題は、倉庫を確保することである。「市内の行田当たりに100坪ぐらいの物件を借りられれば良い」(山川社長)。積合せが可能な荷物は、共同配送にして配送効率を高めるのが目的である。さらに、できれば「2階建てで1階は荷捌き場、2階を保育所にして女性が働きやすい環境をつくり、1台の軽トラに早番と遅番の2交代勤務なども可能にする」(同)ためである。