スポーツ系ウェアや食品トレー容器を輸送


関宿急便(鶴岡等社長)が鶴岡商事として創業したのは1970年。1979年には株式会社とし社名も関宿急便に改称した。鶴岡社長は2代目で、2011年に社長に就任した。

同社の運送事業の始まりは、近くにあった大手製菓メーカーの工場から菓子を運ぶ仕事であった。先代の創業社長は酪農も行っていたようで、「食肉牛を10頭ぐらい飼っていた」(鶴岡社長)という。運送業に入るキッカケは、「先代社長の同級生が大手製菓会社の工場に勤務していたから」(同)のようだ。

運送事業は当時の最低保有台数の7台からのスタートだった。現在では本社ならびに本社営業所の他に、茨城営業所(坂東市)、福島営業所(西白河郡矢吹町)、山形営業所(寒河江市)、それに修理工場(本社の近く)がある。また、グループ会社としては東北関宿急便(宮城県黒川郡)、ロジ・コムズ(野田市)がある。

このうち東北関宿急便は飲料水や一般貨物を運んでいる。また、ロジ・コムズは、以前は倉庫もやっていたが現在ではほとんどやっておらず、派遣事業などを主に行っている。

従業員数はグループで150人、保有車両数はグループで120台である。

関宿急便の輸送品目はスポーツ系ウェアと食品トレー容器に大別できる。

このうちスポーツ系のウェアや靴などは、大手事業者の野田営業所と柏営業所から関東全域の倉庫、問屋、アウトレットなどに納品する業務である。「メインは大型車で、たいていは夜積みしておいて翌朝に出発し、午前中に納品する。帰りは、取引先である大手事業者のそれぞれの地域の営業所からの荷物を確保して、往復とも実車走行するようにしている」(鶴岡社長)。

このスポーツ系ウェアや靴の仕事では、関東一円は自車両で輸送しているが、その他の地方向けは傭車に委託して運んでいる。傭車はシーズンによって波動があるが、月200台から300台になる。

もう1つの柱である弁当など食品トレー容器の輸送では、同分野で過半のシェアを占めている企業が取引先である。茨城県八千代町にある荷主の「関東配送センターから茨城、栃木、群馬、埼玉県内にある問屋に納品する」(鶴岡社長)。車両は4tロング車がメインだが、入口が狭いために4t車や2t車で運ぶ納品先もあるという。早朝の2時から3時ごろに積込み、午後の早い時間には帰社するというパターンだ。

また同社では、荷主の「八千代町の関東工場から八王子配送センターへの横持ち輸送の仕事もしている」(鶴岡社長)。さらに山形営業所は、同荷主の寒河江工場がメインの取引先で、同工場で作られた食品トレー容器を運んでいる。

 これら食品トレー容器の輸送では、自車両の他に傭車にも委託して運んでいる。

「傭車は常時契約が10台、さらに繁忙期にはプラス10台から20台の傭車に委託して運んでいる」(鶴岡社長)という。

関宿急便には福島営業所もあるが、距離的には山形営業所と茨城営業所や本社との中間に位置する。現在、働き方改革が大きなテーマになっているが、同社ではこの地の利を活かして、福島営業所を山形~関東の中継基地にする構想もある。山形⇔福島営業所⇔関東とすれば拘束時間の短縮が実現できるからだ。

 今後の方向については、「大型車の新規の仕事の話などもある。しかし、ドライバーが確保できない」(鶴岡社長)状態で、ドライバーがいれば事業拡大は可能なようだ。