心流通(斎藤祐太社長)の設立は2007年10月なので、今年でちょうど10年になる。同社は斎藤社長の実父が創業したのだが若くして逝去され、5年前から社長を継いだ。
創業時から地元の野菜を主に運んできた。産地の集荷所から集荷して、熊谷、上尾、大宮、浦和、板橋その他の各市場に野菜を運んでいる。また、市場の仲卸やカット野菜工場から食品スーパーの物流センターに運ぶような仕事もしている。
これら野菜の他にも、心流通ではうどんやソバなど麺類の製造・販売会社の仕事をしている。「前橋や深谷にある荷主の工場に製品を集荷に行き、武蔵村山にあるロジスティクスセンターに運ぶ。さらにロジスティクスセンターからスーパーなどの物流センターに納品する」(斎藤社長)という仕事である。
同じ食品でもうどんやソバなどの麺類は工場で作られるので、年間を通して比較的コンスタントに出荷され、荷物の波動が少ない。それに対して野菜は季節物なので、それぞれのシーズンで収穫される野菜が違う。これらを上手に組み合わせて年間を通してコンスタントに車両を稼働させるのがノウハウである。
たとえば地元の名産である深谷ねぎは11月下旬から翌年の6月上旬ぐらいが出荷シーズンである。それに対して赤城高原(群馬県)のレタスは夏物野菜だ。
心流通では「取引の多寡はあるが、農家を含めると80ぐらいの取引先がある」(斎藤社長)。うどんやソバの仕事と、これらシーズンの異なる各種野菜の輸送を組み合わせることで、年間を通して車両稼働を平準化するような事業展開をしている。
心流通は野菜の輸送からスタートしているので、野菜の産地や市場に強い。とくに深谷ねぎは、地元ということもあって昔から築いてきた産地との強いつながりがある。また、深谷ねぎは有名で、市内だけでも5カ所も市場があるという。それぞれの農家では、各市場向けの専用の箱に収穫したねぎを入れておく。心流通のドライバーは、それを集荷所から集荷してそれぞれ指定された市場にねぎを運ぶ。
だが、このねぎは等級ごとに選別されてはいない。そこでドライバーが、集荷したねぎを市場に持ち込み等級選別をするのである。「ねぎは3L、2L、L、M、S、2S、3S、B、C、Dとある。このうちLが一番良くて、3Lなど大きすぎてもダメです。当社のドライバーは1、2時間でこれらの選別をしてしまいます」(斎藤社長)という。ただ運ぶだけではない付加価値である。
先述のように心流通は、各種の荷物の組合せを得意としている。それにはノウハウが必要で、保有台数32台に対して「4人の配車マンがいます。配車マンの平均年齢は31歳で、積載効率などを考えた配車だけではなく、マルチドライバーとしてトラックに乗務もします」(斎藤社長)。同社ではドライバーの有給休暇取得を積極的に進めており、配車マンは配車だけでなくどの仕事もこなせるマルチドライバーとして、勤務ローテーションの調整役も担っている。
また、若い人が多いのも同社の特徴の1つである。従業員40人の平均年齢が36歳で、そのうちドライバーは35人だが、うち女性ドライバーは6人だ。
心流通では、「野菜の産地であり取引先が多い深谷に物流センターを建設したい」(斎藤社長)という構想を持っている。
株式会社 心流通 求人ページはこちら