味の素、カゴメ、日清オイリオグループ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の食品メーカー5社は、味の素物流、カゴメ物流サービス、ハウス物流サービス、F-LINE(以下現F-LINE)、九州F-LINEの物流機能を再編し、来年4月1日に物流事業を統合する全国規模の物流会社を発足すると発表した。
新しい物流会社は味の素物流が存続会社となり、食品メーカー5社が出資する。出資比率は、味の素45%、カゴメ22%、日清オイリオグループ3%、日清フーズ4%、ハウス食品グループ本社26%。また、存続会社の味の素物流はF-LINE(以下新F-LINE)と商号変更する。従業員数は約2550人で、貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫事業などをおこなう。現F-LINEならびに九州F-LINE、およびカゴメ物流サービスは味の素物流に事業統合。また、ハウス物流サービスは一部の事業を除いて味の素物流に事業統合する。その味の素物流が新あたらしF-LINEとして商号変更する、というスキームだ。
系列を超えたこれだけの物流子会社の再編成はこれまで例を見ない。そのような意味では画期的だが、物流子会社の再編統合は1つの通過点にしか過ぎない。というのは前述の5社にMizkanを加えた食品メーカー6社は、以前から持続可能な食品物流プラットフォームの構築を目指して取り組みを進め、今後も続けていくからである。
食品以外の業種でも荷主企業による物流の共同化は進んでいる。5月16日にはクレハが「福島県いわき市所在の化学メーカーによる共同配送の開始について」を発表。共同配送に参加するのはクレハ、有機合成薬品工業、城北化学工業、その他2社で、いずれもいわき市内にある各社の生産拠点から出荷する小口貨物の共同配送を6月1日から開始する。
共同配送の業務を受託するのは三菱ケミカル物流。いわき市内に所在する各社の工場からミルクラン方式で集荷して集荷拠点に集め、埼玉県と神奈川県の中継拠点までは共同配送の専用便で輸送。両県以外の地域向け貨物は、集荷拠点から特積み事業者に委託して路線便で輸送するという仕組みだ。
この5社による共同配送は、混載可能であれば化学メーカー以外の貨物も取り扱うなど、他業種の荷主企業に対しても参加を呼び掛けていく。また、今後は取扱量の増加に合わせて、中京地区や阪神地区にも中継拠点を設置して、集荷拠点から中継拠点への専用便による輸送を拡大していく計画だ。
さらに5月22日には、ミツウロコグループホールディングスも「LPガスの配送・充てん事業の合弁会社発足に関するお知らせ」を発表した。合弁会社に参加するのはミツウロコGHD、ミライフ、三ッ輪産業、三愛石油、橋本産業の5社で、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県の1都6県においてLPガスの配送・充てん事業を行う。合弁会社の発足により、各社の関東エリアの事業所および充てん所を統合して経営資源を共同化、さらに物流の効率化とコスト抑制、LPガス配送における質の向上を図っていく。
会社発足は10月1日の予定で、株主構成はミツウロコGHDの100%子会社であるロジトライホールディングス(仮称:9月設立予定)が20%、ミライフ20%、三ッ輪産業20%、三愛石油20%、橋本産業20%である。従業員数は約600人。
新会社設立に伴いロジトライ(ミツウロコGHD100%子会社)、エナジック関東(ミライフ100%子会社)、神奈川エナジック(ミツウロコGHD、ミライフ、三ッ輪産業が3分の1ずつ出資)、三愛ガスサプライ関東(三愛石油100%子会社)、三ッ輪運輸(三ッ輪産業100%子会社)、マルハ運輸(橋本HD100%子会社)の6社は新会社に統合される。
これら一連の動きは国内市場縮小への対応と認識すべきだ。したがってあらゆる業種で、今後さらに「物流アライアンス」が進むと考えられる。一般にはドライバー不足への対応といった見方をされているが、現下の状況からは結果的にそうなっているだけで、「物流アライアンス」の本質を見抜かないと事業者としての対応を誤ることにもなりかねない。