2024年4月、日本政府はライドシェアの部分的な解禁を決定しました。
これによって日本でも少しずつライドシェアが普及していくことが予想されます。
一方で、海外ではさまざまな国でライドシェアが一般化しています。
今回は、こうした海外の事例を参考にしつつ、4月から日本で導入されるライドシェアと比較してみましょう。
海外のライドシェア導入事情
ライドシェアは、近年急速に拡大している事業です。
そのため、世界でも新しいサービスなのではと考えている方もいるかもしれません。
しかしながら、ライドシェアは意外と歴史が古いサービスなのです。
ライドシェアの必要性が議論されるようになったのは今から50年ほど前で、きっかけはオイルショックでした。
第四次中東戦争に伴う石油の輸出制限により、各国は自動車を動かすために必要なガソリンが手に入れづらくなりました。
そのため、少しでもガソリンの利用を節約するために、自家用車でもほかの人と相乗りができるようなサービスを導入してはどうか、という議論が始まったのです。
オイルショックが和らぎ、ライドシェアに関する議論は一旦下火になりましたが、次に地球環境の問題で再びガソリンの節約が叫ばれるようになりました。
そこで現れたのがUberやLyftなどといった新興企業で、タクシーやバス以外の自家用車でもライドシェアができるようなサービスを展開していきます。
当初こうしたライドシェアは、タクシー業界との兼ね合いや法整備などの都合上なかなか普及していきませんでした。
しかし、徐々にライドシェアを導入している国は増えていき、現在ではOECD加盟国の内14ヶ国がなんらかの形でライドシェアを実施しています。
もちろん、すべての国が何の規制もすることなくライドシェアを導入しているわけではありません。
たとえば、ほとんどの国ではタクシーを運転するためには特殊な免許を取得している必要があります。
一方で、ライドシェアのドライバーとなるための免許は普通免許で十分という国と、特殊な免許も合わせて持っていなければいけないという国に分かれています。
日本でライドシェアが導入される際は、こうした周辺各国の状況も横目に見ながら法整備などを行っていく必要があるでしょう。
海外と日本版ライドシェアとの違いは?
ここからは、2024年4月から導入される、いわゆる日本版ライドシェアを海外の事例と比べていきましょう。
世界で最も早くライドシェアを導入した場所として、アメリカのカリフォルニア州が挙げられます。
カリフォルニア州は、ライドシェア大手のUberが本社を置いている場所としても有名です。
カリフォルニア州でライドシェアのドライバーとなるためには、まず普通免許を持っていなくてはいけません。
これに加えて、3年以内に免許停止になっていなかったり、7年以内に重大な事故を起こしていなかったり、といった条件が設けられています。
さらに、ライドシェアのドライバーになるにあたって車両の登録を行わなければいけないうえに、定期的に車両の点検も行わなくてはいけません。
Uberでは、ドライバーが登録手続きを行う際に、運転技術が適格かどうか、ハラスメントに関するマニュアルの受講も行う必要があります。
もちろん、これと同時に、ドライバーの応募者に犯罪歴がないかなどもしっかりとチェックしなくてはいけません。
このように、カリフォルニア州でライドシェアのドライバーになるには厳しい要件をクリアしなくてはならないのです。
日本版ライドシェアの現状
先ほども見たようにアメリカではドライバーの管理をライドシェアの運営会社が行わなくてはいけません。
それに対して、日本版ライドシェアではドライバーの管理はタクシー会社が代行します。
現在ライドシェアを運営している会社はほとんどが外国企業で、日本に支社を置いていないケースも少なくありません。
そのため、日本ではもともとのタクシー会社のノウハウを利用しつつ、ドライバーの管理を行うことにしました。
ドライバーになる条件は、カリフォルニア同様厳しく、さまざまな要件が設けられています。
タクシー用の第二種免許が必要でないのはカリフォルニアと同様ですが、一方で5時間の研修などを受けなくてはいけません。
また、カリフォルニアでは24時間ライドシェアが利用できる一方で、日本では当面ライドシェアの運用時間が制限されます。
たとえば、月曜から木曜は朝7時から10時までしかライドシェアを利用できません。
これに加えて、2024年中は東京や神奈川のような大都市圏でしかライドシェアが利用できない予定となっています。
しかし、運転するのが好きだけど、二種免許まで取るのは大変というドライバーにとってはメリットのあるサービスと言えるでしょう。
まとめ
日本ではようやく解禁されたとはいえ、世界に比べれば規制が厳しい状況でしかライドシェアは利用できないでしょう。
今後日本でライドシェアが拡大されるかどうかはドライバーの運転の腕にかかっているところがあります。
問題なく安全が確保されるとなれば、日本でもライドシェアは普及していくでしょう。