タクシーの車両に、行灯がついているのを見たことがある方も多いでしょう。
この行灯は、ただの飾りではなくて、きちんとした役割があることをご存知でしたか?
本記事では、タクシーの行灯の意味や役割、緊急時のサインなどについてご紹介していきます。
目次
そもそもタクシーの行灯とは何か?
タクシーのルーフ部分には、行灯(あんどん)と呼ばれるパーツが設置されています。
行灯の正式名称は、「社名表示灯」と言います。
この行灯には、タクシー会社名、個人、ロゴ、マークなどの情報が表記されているため、一目でタクシーだと認識することができるのです。
タクシーの行灯のデザインやカラーは、会社によって異なります。
球体、アーモンド形、ハート形、星形など、さまざまなデザインの行灯が存在しています。
そのタクシー会社のシンボル的な存在とも言えるでしょう。
個人タクシーの行灯の意味
ちなみに、個人タクシーの車両には、星印がついた行灯が取り付けられていることがあります。
この星印には、一般社団法人全国個人タクシー協会が行う「優良個人タクシー事業者認定制度」に登録しているという意味があるのです。
マスターズ制度と呼ばれており、個人タクシーの事業者は自由に参加することができます。
所定の講習を受けて審査に合格すると、「一つ星」がもらえるのです。
一つ星の取得後から一年が経過して、特定の基準を満たすと「二つ星」が付与されます。
「三つ星」は、二つ星の取得後から一年後に、マスター申請を行うことでもらえるシステムです。
星マークの意味を知っておけば、優良な個人タクシーを見分ける際の目安にできるでしょう。
タクシーに行灯を設置する理由とは?
1960年から、タクシーに行灯を設置することが法律で義務付けられました。
タクシー車両には、一体何のために行灯が設置されているのでしょうか。
ここでは、タクシーに行灯を設置する理由について、ご紹介していきます。
1.一般車両と区別するため
タクシーに行灯を取り付ける意味は、一般車両と区別するためです。
近年は、規制緩和の影響により、タクシーとして利用できる車種が増えています。
そのため、車体を見ただけでは、一般車両とタクシーを見分けるのが難しい面も出てきました。
タクシーの屋根にタクシー会社名や個人タクシーなどを表記した行灯を設置しておけば、すぐにタクシーを見分けることが可能です。
行灯には電球やLEDなどのライトが設置されており、明るく光る仕様となっています。
行灯は、夜間や遠方からでもタクシーの存在を認識できるという役割もあるのです。
2.違法業者対策
タクシーの行灯には、違法営業を行うタクシーを見分ける役割があります。
タクシー事業を行うことができるのは、原則として国から許可された法人や個人のみです。
無許可で営業しているタクシーは違法タクシーであり、厳しい処罰の対象となります。
合法タクシーには、タクシーであることを示す行灯の設置が義務付けられていますが、違法タクシーは行灯を設置することができません。
つまり、タクシーの行灯は、きちんと許可を受けた事業者であるという証明になるのです。
乗客が行灯を設置したタクシーを選ぶことで、違法タクシーに乗客が流れるのを防ぐ役割を担っているのです。
3.乗車中や空車であることを知らせる
行灯は、乗客中や空車を知らせる役割があります。
お客さんがタクシーに乗っている場合は行灯を消灯し、乗客が乗っていない時は行灯を点灯させることで、遠くからでもタクシーの状況を知ることができるのです。
4.防犯上の理由
タクシーに行灯が設置されるようになったのには、防犯上の理由があります。
終戦後は、タクシー強盗が頻繁に発生していました。
タクシーの車内は密室なため、車内で強盗が発生しても、周りから気付かれにくいことがあります。
そこで、ドライバーの安全を守るために、「SOS」のサインを知らせる手段として行灯が取り付けられるようになったのです。
タクシーの行灯の緊急時のサインを知っておこう!
タクシーの行灯には、緊急時を知らせるサインがあります。
通常時の行灯の点灯カラーは白色ですが、非常事態が発生した際には、行灯が赤く点滅する仕組みとなっています。
もしも、行灯が赤く点滅しているタクシーを見かけたら、強盗や事故などのトラブルが発生している可能性が高いと考えて良いでしょう。
そのようなタクシーを目にしたら、すぐに警察に通報しましょう。
まとめ
タクシーに取り付けられている行灯には、遠くからタクシーであることを認識したり、乗車中や空車などの状況を知らせたりする役割があります。
国から許可を受けた合法タクシーには行灯の設置が義務化されているため、違法タクシーを見分けるサインにもなるのです。
さらに、行灯は防犯対策の役割もあります。
緊急事態が発生した際には、SOSのサインとして行灯が赤く点滅するようになっているのです。
そのような状況に遭遇したら、110番通報をしたほうが良いでしょう。