タクシー運転手になるか、転職するかを検討するうえで鍵となるのは、やはり年収ではないでしょうか。
タクシー運転手は、走行距離などによって収入に差が出ますが、平均年収はどのくらいなのか気になるところです。
そこで、タクシー運転手の平均年収はどのくらいなのか、業界内の収入事情を紐解いていきます。
タクシー運転手の平均年収について
タクシー運転手の平均年収は、調査データや年度によっても異なりますが、2024年4月に更新された最新の調査資料によれば、全国の平均年収は約488万円となり、500万円に近い高収入となっています。
地域差があり、地域別の平均年収を見ると北海道・東北地方は368万円、関東地方は426万円、中部・北陸地方は435万円、近畿地方は576万円、中国・四国地方は365万円、九州・沖縄地方は394万円となっています。
都道府県別に見ると、最も高いのが滋賀県の635万円です。
一方、最も低いのは愛媛県の344万円でした。
これに対し、国税庁が提供するデータによれば、給与所得者、いわゆるサラリーマン全体の平均年収は461万円、男性だけで見ると平均年収567万円、女性は280万円でした。
タクシー運転手はタクシー会社に雇用されていても、個人事業主として扱われるケースと正社員として給与取得者扱いになるケースがありますが、給与取得者全体の平均年収と比べても、タクシー運転手の平均年収は決して低くありません。
むしろ、高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
業界内の収入に地域差がある理由
タクシー運転手の平均年収で気になることといえば、地域差があることです。
タクシー業界で平均年収の地域差が大きいのはどうしてでしょうか。
まず、1つ目の理由はタクシーの需要が地域によって大きく差があることです。
東京などの都心では日中でも夜間や深夜でもタクシーの需要は大きく、観光客やビジネスマンがタクシーを多用してくれます。
終電がなくなった後は、遠方までタクシーで帰る人も多く、料金も高くなるので稼げるのがメリットです。
一方、地方で車社会の場所ではタクシー需要が少なく、かつ出張客や観光客も乏しい地域は年収が伸び悩む傾向があります。
ただし、そういった地域は物価や家賃などが安いケースも多く、生活に大きく困るとは言い切れません。
なお、関東地方よりも近畿地方の平均年収が高いのは、タクシーの料金体系のほか、観光地として人気が高いことも影響しているのではないでしょうか。
京都や奈良などの観光地では国内外から訪れる旅行者がタクシーを利用し、観光タクシーの需要も多いです。
そのため、ほかの業界では平均年収が低くなる九州・沖縄地方も観光需要が高いので、北海道・東北地方や中部・北陸地方、中国・四国地方よりも平均年収が高くなっています。
タクシーの平均年収が高い地方ほど、ビジネス需要、観光需要が多く、インバウンド需要の多さも影響を与えています。
収入向上を目指すには
タクシー運転手の平均年収は予想以上に高いと思った方も多いと思いますが、実際にどのくらいの収入が得られるかは、自分が働く地域や働くタクシー会社、そして自分の頑張りにも影響を受けます。
まず、働く地域が選べるのであれば、都市部や観光地などタクシー需要が多いところのほうがベストです。
同じ地域でもタクシー会社によって給与体系や歩合率が異なるため、求人を探す際には比較検討することや年収がどのくらいになるのかモデル事例やシミュレーションなどをチェックすることも必要です。
歩合率が高いほうが有利ではありますが、安定収入を得るための基本給の有無や保証給があるかも確認しましょう。
そのうえで、入社後には効率良く顧客を獲得する方法を習得することやなるべく長い距離が走れるチャンスを見出すなどの工夫が必要です。
駅のタクシー乗り場や病院やオフィスビル、観光施設などのタクシー乗り場を押さえる際やタクシー配車アプリを活用する際も、どの辺りで待機していると待ち時間なく依頼が入るのかなどの情報をリサーチしながら押さえていきましょう。
場所や時間帯により、長距離で乗ってくれるお客さんの数にも差が出るので、勤務する曜日や勤務時間にこだわるなど、自分なりの戦略を講じていくことも収入向上のコツです。
たとえば、日中は都心のオフィス街で流しのタクシー、夜は繁華街の近くで終電を逃した顧客をつかまえる、深夜の長距離移動者が増える金曜日の夜は必ずシフトに入るなど、さまざまな戦略が考えられます。
配車アプリを上手に使いこなすのも一つの戦略になるので、アプリを味方につけるのも、これからの時代には大切なポイントになります。
まとめ
タクシー運転手の平均年収は、ほかの業種と比べても決して低くありません。
ただし、地域差があるのが業界の特徴です。
地域によってタクシー需要に差があるのが大きな理由です。
収入向上を目指すには、タクシー需要が多い地域で働くことや効率良く顧客を獲得し、なるべく長い距離が走れるノウハウを身につけましょう。