雨で中々空車タクシーが来ない時、やっと来たと思ったら『回送表示』のタクシーでがっかり、なんて経験はございませんか?
実はその回送表示タクシーにも、駄目元で手を上げていれば乗る事が出来たかも知れないんです。
今回はその理由をドライバー目線で解説致します。
回送表示をしていいケースは限定されている
運転手が自由に掲示しているように見える回送表示ですが、厳密には掲げても良いケースというのはかなり制限されています。
これは旅客自動車運送事業運輸規則という法律の50条6項と7項に規定されています。
【6項】一般乗用旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、食事若しくは休憩のため運送の引受けをすることができない場合又は乗務の終了等のため帰庫若しくは営業所に回送しようとする場合には、回送版を掲出しなければならない。
【7項】一般乗用旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、前項の場合以外の場合には、回送版を掲出してはならない。
この条文を素直に見ると、食事、休憩、乗務の終了による営業所回送だけに限定されていますが、それでは燃料が無い状態でも故障状態でも回送を掲示してはならない事になってしまいます。 よくよく見ると乗務の終了”等”のためという風に、一部ぼかしたニュアンスが含まれているので、上記の燃料不足や故障が原因で乗せられない場合でも掲示して良いと解釈できます。 法律用語は難しい…。
要するに。
- 乗務の終了、及び故障の為に営業所、及び車庫への帰庫
- トイレや食事へ向かう
- 休憩に入る
- 給油
この辺りが回送表示を掲示して良いとされる主な理由です。
回送タクシーに乗れるケース
回送表示なので厳密にいうとお客さんを乗せてはいけない状態ではあるのですが、例えば雨の日に小さい子供を抱えている方や、杖を突いた老人、又はかなり急いでいる様子のお客さんが手を上げて乗車の申し込みをしてきた場合、もう少しトイレを我慢してでも乗せてあげたいと思うのが人間の心情というものです。
また、持ち時間に余裕が無い場合でも、一応停車してみて、行き先を聞いたうえで近場や営業所への方角であった場合はお乗せするといった事も考えられます。 さらに意外と多いのが、回送表示の消し忘れです。 トイレ休憩等から復帰した際に、回送表示の解除を忘れてしまい、そのまま空車のつもりで営業再開しているタクシードライバーが結構います。
自分も何度も経験がありますし、同じドライバーなので他の回送タクシーの中には「これはきっと消し忘れだろうなー」と感じるものも多いです。
無論これらの状況でお客さんを乗せてしまうと、顧客の選別と捉えられかねないので平等を規定する法令上はグレーではあります。
が、これは乗車拒否が横行していた時代の名残とも言える部分なので、時代の変化には現場レベルで臨機応変に対応したいとも思います。
どうしても乗せられない状況も当然ありますが、表示の消し忘れや「どうしても今!」っていう休憩で無ければ意外と乗れたりします。 駄目で元々、回送表示のタクシーに手を上げてみて、停車したらラッキーといった利用方法も試してみては如何でしょうか?
出典:たくのり