タクシーはお客さんを乗車地から目的地まで、ドア・ツー・ドアでお送りする公共交通です。
それ故に一回の運送における走行距離やかかる時間がバラバラ。
なので基本的にはタクシーメーターと呼ばれる料金計算表示機を使って運賃を決定するわけです。例外として定額や時間貸しというのもありますが、ここでは除外します。

タクシーメーターには空車から実車に変わった瞬間から運賃額が表示され、一定距離を走行するとそれに応じた額が加算されていきます。
また、一定の速度よりも遅くなると時間メーターが作動し、105秒経過ごとに80円が加算されていきます。(東京23区三鷹市武蔵野市の場合)

さて、タクシーを利用されるお客さんの中には、同じ距離なのに毎回運賃が違うことから、タクシードライバーが任意にタクシーメーターを不正操作できるのでは無いかと思っている方がいると思います。

これはハズレと言えばハズレなのですが、全く不可能かと言えばそうでもありません。
詳しくは以下で解説致します。


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メーカーによっては可能な深夜早朝割増操作

一部メーカーのタクシーメーターは、何故か実車ボタンを2度押すと深夜早朝割増(23区なら2割増し)と通常メーターとを切り替えることが可能になっています。
メーター内には時計が内蔵されており、本来ならば自動で22時から割増しを開始し、5時を過ぎたら割増しを終了します。

ところがこのメーカーの機械であれば実車ボタンを2度押しする事により、割増し時間外であれば割増しに、割増し時間内であれば割増しを解除する事が可能です。
これは2度押しする度に切り変わります。

割増時間内であれば、この不正操作によって割増が解除されお客さんが得をする事になりますが、割増時間外にこの操作をされると、押した時点から支払いボタンをおす、又は再び2度押しで解除する時間の間の運賃が通常よりも2割増しとなってしまいます。
本来メーター料金の表示は絶対であり、過失による遠回りで上昇した分を払い戻しする行為以外は禁止行為となっています。
それは割引きでも割増しでもです。
よって何れにせよ違反行為という事にはなるのですが、実際問題お客さんが損をする方の不正操作に関しては絶対にあってはなりません。
今の御時世、故意にそのような操作をする運転手はまずいないのですが、中には悪意を持って2度押しをする運転手がいるかも知れません。
メーター機にはその情報が記録されるので、防犯カメラが無くとも結果的にはバレる愚かな行為なのは間違いないのですが、お客さんがその場で不正を発見する事も可能です。

メーター不正操作をお客さんがチェックする方法

実車ボタン2度押しによる割増切り替えですが、その切り替えの際に電子音が鳴ります。
普段実車中に電子音が鳴るとしたら、時間によって深夜早朝割増に切り替わった瞬間、又は高速道路に入る際に時間メーターを止めるための高速ボタン、後は目的地に到着して支払いボタンを押したとき等に限られています。
また、メーター機の運賃額が表示されている所に注目です。
割増時間ならば「割増」の表示がされています。
割増時間外であるにも関わらず「割増」という表示があるならばそれは確実に不正行為が行われていると言えます。

多くのタクシー会社が機械がオートで乗車降車情報を記入する自動日報を採用しており、不正があれば運行管理者がすぐに気付く筈なので、現在こんな馬鹿な事をする運転手はほぼゼロだと見て良いのですが、それでも万が一があるので電子音や表示を確認する癖は付けておいても良いのではないかと思います。

1年に1回のメーター検査が義務付けられている

タクシーは1年に1回必ずタクシーメーターが正常に動作するかをチェックするメーター検査を行います。
タクシーを車両ごと検査場に持っていき、ローラーの上で走行してメーターに不正が無いか等を検査員が確認します。

検査が完了すれば有効期限が表示された証明のシールが貼られます。
その後に中を開けられないように鉛で封印をします。
仮にこれをこじ開けたら痕跡が残るのですぐにバレます。

さらに万が一特殊な技能を持つ乗務員がいて不正操作を行い割増し運賃を請求できたとしても、メーターにもレシートにもその記録が残り、また、その際の不自然な日報が運行管理者の目にとまりすぐにバレる事になるでしょう。
(運行管理者は乗務員の日報を毎日チェックしています)

運行管理者のいない個人タクシーの場合でも、メーターをこじ開けて、設定を切り替えて、封印を奇跡的に元通りに復元する技能を持ち合わせている人物がいたとしても、その間に仕事した方が余程収入は増えるでしょう。

派手に運賃額が上昇するように切り替えたら感覚的にお客さんにバレますし、メーター検査前には再び元の設定にしなおして、鉛を溶かして印を偽造して…。
こんな途方も無い手間を考えるくらいなら普通に真面目に仕事した方が遥かに効率的です。

個人タクシーは免許を取得するのに尋常じゃなく苦労していますので、変なリスクを背負うような事は基本的には有り得ません。

割増は無理でも割引は容易に可能

割増操作はお客さんが余分に運賃を払ってしまう可能性があるので上記の通り厳格に規制されているのですが、実は割引に感しては意外と容易に可能だったりします。

まず障害者割引。
これは障害を持った方がタクシー利用をしやすいように、最終的な運賃額が1割引となる制度で、写真付きの障害者手帳を乗務員に提示する事で利用可能です。

この割引操作は非常に簡単で、ボタン1つ押すだけです。
メーカーによりますが、再び押すと解除も可能です。

まだあまり浸透していませんが、免許を返納した方がその証明を持っている場合に限り1割引で乗れる免許返納割をやっている会社や個人タクシーの場合でも同様に1割引ボタンを使います。

そしてもう一つの割引方法は高速道路ボタンの利用です。
高速道路や自動車専用道路を使う際、渋滞をしていたら運賃メーターが次々とあがってしまいます。
高速道路利用なのに運賃が跳ね上がってしまうのはあんまりだという事で、タクシー乗務員は高速に乗ったら時間メーターをストップさせなければなりません。
その際に使うのが高速ボタンです。

これを1回押すと時間メーターがストップし、純粋に走行距離だけでメーターが上がるように切り替わります。
再び押すと解除されて時間経過でも運賃が上がるようになります。

これを一般道で使えば、いくら渋滞していようが信号待ちをしていようが、運賃が加算される事はありません。
単純に走った分だけが計算されます。

但し、これらの操作は適正に利用する事が義務付けられていて、仮に障害者手帳を持っていないお客さんに障害者割引を適用したり、高速道路に入っていないのに高速ボタンで時間メーターをストップさせたり等を行ったら、メーター不正使用という事で罰せられます。
道路運送法違反です。

音はメーカーにより若干違いますが、夜間22時になると「ピピピピ」と電子音が鳴ります。
これが割増切り替えの合図で同様に早朝の5時の割増終了の際も鳴ります。
この音が結構大きくてびっくりするんですよね。
せっかく目的地までオヤスミになっていたお客さんも起きちゃったり。

まとめ

タクシー運転手による不正操作は基本的に有り得ません。
但し一部メーカーの実車ボタン2度押しによる割増切り替えによる不正は可能性がゼロではありません。
音やメーター表示で確認して下さい。
割引に関しては比較的容易に可能ではありますが、これも同様にメーター不正使用となり法令違反です。

出典:たくのり

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