人手不足に悩む企業にとって起死回生の一手になるかもしれないのが、従業員への給料前払い制度の導入です。 特に、日々の生活に困窮している労働者が多いとされる、流通業や飲食業ではその効果が期待されます。
なぜ、人手不足を解消するために前払い制度の導入が重要なのかを、詳しくご説明していきたいと思います。
<目次>
- 日々の生活に困っている労働者の助けになる
- 労働者が負のスパイラルから抜け出すことができる
- 労働者のことを大事にする企業に人が集まり人手不足が解消される
- 長期雇用が増えることで業務効率がアップする
- まとめ
日々の生活に困っている労働者の助けになる
給料の前払い制度があることで助かるのは、何と言っても日々の生活に困る労働者でしょう。
生活に困窮する労働者が最も困るのが、住居の確保です。
日本では、敷金礼金制度という住宅を確保する上で非常に高いハードルが存在します。敷金礼金がともに一か月分でも、月7万円の部屋なら14万円かかります。日々の生活に困る労働者にとって、14万円というのは非常に大きな出費です。
また、賃貸住宅を借りるためには保証人が必要ですが、保証人を頼める親族などがいない場合は、保証金を出してくれる会社に依頼する必要があります。その際の保証料もかかります。
その結果、漫画喫茶やカプセルホテルのような場所で寝起きするしかない労働者も数多く存在します。
もちろん、今日明日の食事代にも事欠くという労働者もいます。そんな労働者にとって、給料前払い制度がある企業は救いの神のようにも見えることでしょう。
働きたいのに先立つものがないため働けないという労働者を確保することができますから、前払い制度は人手不足解消のために非常に効果が高い方法なのです。
労働者が負のスパイラルから抜け出すことができる
お金がない労働者の多くは、いくら努力してもいくら働いてもお金がない状況から抜け出せないという負のスパイラルにはまり込んでいるケースが多いと言います。
それはなぜなのでしょうか?
まずネックになるのが、住宅問題です。前述した通り、敷金礼金制度や保証人制度などから日本ではそう簡単に賃貸住宅を借りることができません。そのため、漫画喫茶やカプセルホテルなどの日払いの宿泊施設に住まざるを得ません。
しかし、このような日払い宿泊施設は長期的に考えれば、アパートを借りるより出費が増すものです。そのため、一度に大きなお金を用意できないために、ずるずると無駄な出費を繰り返すことになってしまうのです。
もちろん、日々の暮らしに困窮する人だけに負のスパイラルが当てはまるわけではありません。自己投資をすることで収入が上がり、負のスパイラルから脱することができるケースもあります。
例えば、流通業ならフォークリフトやクレーン車などの特殊車両や大型車両の免許、危険物取扱系の免許などを持っていることで収入が上がります。しかし、これらの資格を取得するだけの資金がない、仕事が忙しすぎて資格を取得する暇がないなどの理由で、資格手当もなく安い給料で働き続けなければならない人もいます。
そこで、給料前払い制度があれば、住宅の確保や資格取得のための資金の確保が可能です。負のスパイラルを生む状況から脱することができれば、労働者たちの労働条件や生活条件は改善されるのです。
そして、それができる前払い制度がある企業に、労働者が集まるでしょう。
労働者のことを大事にする企業に人が集まり人手不足が解消される
前払い制度があることで資金不足から満足に働けなかった労働者にも間口が広がり、労働者の確保が進みます。人手不足の企業に労働者が集まることで、人手不足は解消されるのです。
前払い制度の有無が労働者の応募に影響する理由は、単に先に給料がもらえて生活に役立つからなどという単純なことだけではありません。
大事なのは、企業が労働者の生活を長いスパンで考えているかどうかということです。労働者を使い捨てにして利益が上がれば良いという考え方ならば、何も労働者のために前払い制度など導入する必要はありません。かえって給与支払いの手間が増えるだけなので、企業には何のメリットが無いからです。
しかし、労働者にも生活があります。そして、企業が労働者それぞれの生活を見据えて採用するからこそ、労働者の応募が集まるのです。
逆に言えば、労働者の生活を重視しない企業には、労働者は集まりません。集まっても質の悪い労働力にしかならないでしょう。
長期雇用が増えることで業務効率がアップする
労働者のことを親身に考えて労働者に本当に必要な制度を充実させる企業には、長く働いてくれる労働者が集まります。
長期雇用が増えるということは、企業にとって非常に大きなメリットをもたらします。社員の質が向上して高スキル者が増え、少ない労働力でも質の高い労働力を確保できるようになるのです。
このように、長く働いてくれる従業員が多いかどうかということは、企業の質を大きく左右します。そして、長期雇用を増やせるかどうかは、労働者が望む制度をどれだけ採用できるかにかかっているのではないでしょうか。
まとめ
前払い制度は企業の人員不足を解消するという、非常に大きなメリットをもたらすことがわかっていただけたと思います。
前払い制度は労働者にとっても企業にとっても、非常に高い重要な制度です。
企業それぞれの特徴に合わせた労働者が使いやすい前払い制度を導入するのが良いでしょう。