運送会社の経営コンサルティングを長く行っていると、他社であまり見ないようなユニークな福利厚生施策を導入している会社に出会うことがあります。以下にその例を挙げてみたいと思います。
①「親孝行手当」
一般的に家族手当や子女教育手当など主に扶養する子供を対象にした手当を支給する会社は多く見られますが、運送会社のA社は社員の親を対象に「親孝行手当」を支給しています。A社の経営者は「親に感謝し、その恩に報いること」を社員に推奨しており、この手当の支給を始めました。
介護が必要な親に対する介護手当ではなく、健康な親も対象になります。現在は政府による児童手当の拡充が進み、児童手当の取得制限撤廃や高校生までの延長支給、多子世帯への増額支給等の施策が決定されています。
政府による子供への手厚い補助がある一方、親を扶養する者に対する補助は特にありません。これからの福利厚生施策は親を養う社員への援助が本当に有難いのかもしれません。
②「誕生日祝い」「入学祝い」「卒業祝い」を社員の家族宛てに送付
運送会社B社では社員の家族に対して誕生日と入学時、卒業時にお祝いの品を贈っています。その際、社長のお祝いの一言が書かれた手紙を添えて家族本人宛に発送しています。社員に渡すのではなく、直接本人に送るので、もらった本人は勤務先の社長からの手紙に驚きます。家族は会社の心遣いに感動し、良い会社だと実感します。家族の理解が深まると社員の定着率にも良い効果を与えます。
家族の満足度を高めて社員の帰属意識を高め、人材確保に資するという福利厚生本来の目的に沿った施策と言えるでしょう。
③「禁煙手当」「禁煙成功報奨金」
運送会社C社では、健康経営推進の一環として愛煙家に「禁煙手当」を支給しています。先ず愛煙家に禁煙宣言をしてもらい、禁煙に努力している間、毎月一定額の手当を追加で支給しています。一年後には「禁煙成功報奨金」として毎月の手当とは別に6か月相当額をまとめて一時金で支給しています。
C社では禁煙を推奨していますが、なかなか止められない社員もいるため、ご褒美を与えることで禁煙への動機づけを行っています。この手当支給を始めて以降、複数名の社員が禁煙を達成しており、確実に効果が表れています。
④「惣菜」の支給
運送会社D社では、冷蔵庫内に煮物などの「惣菜」を常時保管し、社員が好きな時に冷蔵庫から取り出して電子レンジで温め、食べられるようにしています。専門業者と契約して常に新しく変化のある惣菜を備え付けているので、社員も飽きることが無く、利用できます。
ドライバーは帰社時刻がまちまちで深夜になることも多く、24時間いつでも食べられるため重宝しているそうです。家に持ち帰って子供の夕飯のおかずにする女性ドライバーもいます。
一品200円の惣菜ですが、会社が半額を補助しているため、社員は100円で購入することが出来ます。社員が半額を負担しているため、現物支給の賃金にあたらず、会社も経費になり損金で落とせるため、両者両得の福利厚生施策といえます。
⑤「田植え休暇」「飲み会補助」居心地の良い会社に!
運送会社E社では毎年田植えの時期に、社員に「田植え休暇」を与えています。その地方では実家で田植えをするとき、家族が手伝う慣習があり、休暇を取得する社員が多くいます。職場に気兼ねなく休めるよう有給休暇を与えています。
また職場の仲間で会食する際は会社が「飲み会補助」として一定額を補助しています。このような働きやすい職場なので、辞める社員がおらず高い定着率を維持しています。
いかがでしたか?次回もお楽しみに。