運送業は、他業種と比べて売上を増やしにくい業界です。運送業を始めたばかりの業者にとって、悩みの種となっています。慢性的に、下請け側にまわってしまうと、従業員に給料を還元することも難しくなってきます。ただ、運送業でもポイントを押さえれば売上を増やすことは十分可能です。今回は、運送業経営で売上アップに必要な4つのポイントを解説していきます。

<目次>


運送業経営は生産性が大事

運送業経営で利益を上げるには「生産性」が重要になってきます。一般的に、ビジネスで利益を出すには「利益率の高いビジネスをすること」が重要とされます。利益率が高いビジネスの典型例は、ネットを使ったビジネスですね。ネットビジネスは、原価をほとんどかけずに、利益を出すことができます。

これに対して、運送業は利益率が高いビジネスとは言えません。というのも、トラックや燃料などにかける費用のわりに、運賃で得られる利益が少ないためです。運送業は物流の基盤ですので、仕事自体が無くなることはないでしょう。

ただ、参入している企業数が多く、高い運賃を設定してしまうと他社に仕事を奪われる可能性があります。結果として、業界水準以上の運賃を設定することがなかなかできず、利益を伸ばしにくいのです。

利益率が低い、売上を伸ばすにはどうしたらよいのか。それは「生産性を上げること」です。

「生産性を上げる」とは、「同じコスト、時間で売上を伸ばすこと」です。これを実現するには、輸送面での稼働効率を上げることが必須になります。配送コース、配送や集荷の組み合わせを見直したり、荷受けや出荷作業を効率的に連携するなど、生産性を上げる施策を打っていくことが肝要になります。

従業員一人一人の意識改革も必要になってきます。運送業は「人」で稼ぐ業界なので、従業員に対する生産性向上の教育も合わせて行っていかねばなりません。


売上アップに必要視点

売上アップに必要な視点として、生産性以外に「固定費などのコストを削減すること」が挙げられます。トラックの整備費や燃料費、人件費に関しては、下げるにしても限界があります。特に、人件費については、運送業全体で賃上げムードが高まっている中、実施するのは非常に難しいと言えます。

燃料費に関しても、トラックが消費する燃料は大幅に減らすことは至難です。加えて、原油価格の高騰リスクもあるので、燃料費の削減に注力するのは、効率的な固定費削減策とは言えません。

これらの固定費以外で削減できるものがないか、徹底的に洗い出してみましょう。たとえば、使用頻度の低い備品の発注を抑えたりするなど、削減できる箇所は少なからずあるはずです。大切なのは「余計なコストをかけないこと」です。コストをかけてしまった時点で、売上が相殺されるという意識を強く持つようにしてください。


運送業経営者へ、仕事の取り方

運送業を新規に始めた場合、最初は運送の仕事を取りにいかねばなりません。ポイントとしては、「白ナンバー」のトラックで配送を行っている企業を見つけて、その企業にアポイントメントをとって運送の提案をすることです。白ナンバーのトラックは「自車配送をしている」トラックになるため、運送を代行することを打診すれば、任せてくれることがあります。

売り込む際のポイントは、「コスト削減」を提言することです。相手企業にとって「運送を任せるとメリットがある」という点を強く意識させることが重要になります。メリットがあれば、相手方の企業も運送依頼を出しやすくなり、受注に繋がりやすいです。

ただ、数日、数週間の営業で案件がとれるほど甘くはありません。毎月、継続して営業を行って、自社の名前を知ってもらうことが第一ステップとも言えます。名前を覚えてもらえれば、車両の買い替え、配送社員の退職などのタイミングで、案件発注の声がかかることもあります。まずは、営業に時間をかけていくことを意識してください。


荷主が運送業者に
求めていることとは?

荷主が運送業者に求めていることは「安い運賃で、安全に製品・商品を運んでくれること」です。荷主にとって、運賃は低ければ低い程よいです。ただ、低い運賃をすべて真に受けてしまっては、運送業者側の利益が無くなっていまいます。

運賃の設定は、荷主と運送業者の「せめぎ合い」とも言えるのです。一度、運賃を低く設定して受注してしまうと、その後に値上げ交渉するのが難しくなってしまいます。運賃を低く見積もるとしても、最初は高めに提示して、そこから徐々に下げていく方が、運送業者側の利益を確保しやすいです。

目先の利益を求めて、安い運賃でも受注したくなりますが、まずは足を使って、低すぎない運賃で依頼を出してくれる優良顧客を探す努力をしましょう。最初のころは、営業に時間を投下するぐらいで丁度よいくらいです。優良顧客が見つかったら、まずはその顧客との信頼関係の構築に力を注ぐようにしてください。


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