最近はスマホアプリで手軽に便利にタクシーを呼べるようになりました。
従来は電話でオペレーターと通話し指定した場所へ呼ぶスタイルが基本で、今でも多くの方がその方法でタクシー配車を利用しています。
しかし数年前からジワジワと利用者を増やしてきたのがスマホ配車アプリ。
GPS利用や地図をタップしてタクシーを呼ぶ方式ですね。

通話する必要がない分手軽に呼べますし、スマホ画面で配車場所へタクシーが接近してくるのが分かるので到着時刻が分かりやすいというメリットもあります。
さて、利用者側にとっては良い事だらけのアプリでの配車ですが、タクシードライバー側はどのように考えているのかと言うと必ずしも歓迎しているとは言えない状況です。
私も現役タクシードライバーとしていくつかの問題点に気付きましたので、今回それを洗い出してみたいと思います。


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キャンセル率が高い

電話で自宅や指定場所へタクシーを呼ぶ場合と違い、アプリは手軽さ故にキャンセル率が高くなる傾向にあります。
例えば雨の日に路上でタクシーを待つものの、中々捕まらずにアプリを使って呼ぶとします。雨天は利用者が多く近くにタクシーがいなかったり道路が混んだりで到着まで時間がかかる事が多いです。
その間にたまたま別の空車タクシーが通りかかったらそれに乗ってしまうケースが後を絶ちません。
確かにお客さんの気持ちも分かります。急いでいる時はからか目の前の空車に乗りたくなるのは分かります。

運転手側のロスは甚大

ただ一方で指定場所へ向かうのに10分、お客さんが来るのを待つ時間が10分、異変に気付いて無線センターがキャンセル扱いにするまでに10分。合計30分程度の時間のロスとなります。会社によって対応は違いますが、時間のロスは似たようなものです。
東京では現在暇な時間でも1時間当たり約3000円、忙しい時間帯によっては6000円以上稼げます。こういった配車キャンセルは主に忙しい時間帯に発生しますので、ロスした時間分で稼げた筈の3000円を失う事になるのです。

乗れた筈の他のお客さんが乗れない

時間ロスで売上が下がるのは上述の通りですが、他にも弊害が発生します。
他に誰も乗れない迎車表示状態が長くなり無駄にタクシーが拘束される為、その分他にタクシーを利用したいお客さんに回らなくなります。
事実、配車によって迎車メーターに切り替えて待ち合わせ場所に向かう最中に、お客さんの手が上がる事は良くあります。
(空車表示だと勘違いして)
要は道路はお客さんだらけの状態なのに配車によって拘束され、さらにそれがキャンセルとなった場合の損失は多岐にわたるというわけです。

キャンセルをするお客さんの言い分

「急いでいるのにすぐに来ないのが悪い」
「前に呼びたかった時に全く捕まらなかったからお互い様だ」
それも分かると言えばわかります。
タクシー等の旅客運送事業に限らず、貨物運送事業でも運転手の数が足りておらず、今後はドライバー不足が深刻になるとさえ言われています。
加えて特別区武三交通圏は初乗り運賃の値下げによって、景気は良くなっていないにも関わらずピーク時にタクシーが捕まりにくい状態になっています。
会社もたかだか平日の数時間のピーク需要に合わせて車を過剰に用意するわけにもいかず、こうしたすれ違いは今後も起きる事だと思います。
ただ少なくとも、歩合給が基本であるタクシードライバーにとって時間のロスは本来手にする筈のお金を失う事と等しく、サラリーマンで考えれば普段通りに業務を行っていたにも関わらず給料を突然理由なく下げられた事と同じようなものです。

会社によっては強制的に受けさせられるアプリ配車

配車アプリやSNSアプリに紐付けされた配車サービスを、低迷が続く業界の起爆剤にしようと考える事業者が多いです。呼べるタクシー会社を選べるため、接客に自信のある会社はそれによってお客さんの囲い込みも可能だと考えているようです。それらの事からアプリ配車を半ば強制的に運転手に受けさせる会社もあります。
ただその”強制”の中にはイメージを背負う会社と実質的な賃金を考慮するドライバーの溝が垣間見えます。

改善策

アプリ配車を嫌うドライバー、配車キャンセルを行う利用者。
こういった双方のモラルの改善は匿名性が高いことから発生する部分もあると考えます。
そこでドライバー側と利用者側の双方で評価し合う相互評価システムが必要だと思います。
現状よほど酷い利用者はブラック顧客としてアプリ配車に加盟するタクシー会社で情報を共有する事もあるそうですが、もっと可視化された形で行わなければ、節度を守って利用しているお客さんにも申し訳がないです。
遠方配車ではなくかつ配車先に行けば確実にお客さんが待機している状態ならば、何もアプリ配車を強制しなくとも運転手さん側から自然と協力するでしょうから。
何かを強制している時点でシステムに歪みが生じている事を業界や経営側は認識すべきだと私は思います。

出典:たくのり

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