これから運送会社に就職しようと考えている人や現在転職を検討している人は、応募する会社の経営が安定しているか否かを事前に判断できればよいと思うでしょう。
運送業界は中小企業が大半を占めており、収益性が高い会社から万年赤字基調の零細企業まで幅広く存在しています。よく規模が大きい会社ほど経営が安定していると思われがちですが、社員数が少ない会社でも大手中堅企業を上回る収益力の会社もあります。

そして収益性が高い会社は従業員の賃金も高い傾向があります。それでは運送会社の経営状況はどこを見ればわかるのでしょうか。当然、決算書(財務諸表)を見れば一目瞭然ですが、外部から見ることはできません。 そこで決算書を見なくても外から見て推測できる方法をいくつかお伝えしたいと思います。

まず、その企業の取引先が真荷主(荷送人)なのか、同業の運送会社なのかを見ます。取引先の状況は会社のホームページ等で確認できます。取引先が運送会社で下請中心の会社では高い収益を望むことは期待できません。荷主の仕事を直接請け負う元請会社のほうが収益性は高い傾向があります。

但し、特殊な技術や車両を持つ会社の場合は下請でも収益性を確保できる場合があります。例えば、ユニック車両で機械等の運搬の他に据え付け作業までこなせる会社など、付加価値のある仕事を行う会社の場合は、運賃以外に作業料金等を収受することが出来るため収益性が高くなります。

また危険物取扱資格等の資格が無いとできない仕事なども比較的収益性が高い傾向があります。その他、「Gマーク認証」「グリーン経営認証」等の業務に直結する認証、および「働きやすい職場認証」「健康経営優良法人認証」等の職場環境に関する認証について取得しているか否かも経営力を判断するうえで重要です。これらの内容は事前にホームページ等の情報から推測できる事項ですが、実際に面接等で会社を訪問した際にチェックしておくべき事柄について次に列挙したいと思います。会社訪問をした際にはぜひ以下を確認してみてください。

①事務所や応接室の壁に「経営理念」や「会社方針」が掲げてあるかを見る

経営が安定している会社は経営トップの将来に向けた経営ビジョンが明確であり、経営理念や経営目標を社内に明示しています。経営力の強い会社ほど経営理念を大事な柱と捉えているため、事務所の一番目立つ場所に掲示しています。
一方、経営者に経営ビジョンがなく目先の利益確保だけに終始している会社にはそのような掲示は見られません。

②玄関口が整理整頓されているかを見る

経営が安定している会社ほど「整理整頓」を重視しています。特に取引先等の顧客が出入りする玄関口を見れば判断できます。靴が散乱しているケースは経営が不安定で資金的な余裕がない会社によく見られる傾向です。
また、休憩室が乱雑な場合も社員教育がされずに放置されている状況であり、経営力の弱さを露呈しています。

③トラックが輝いているかを見る

商売道具であるトラックが汚れたまま放置されている会社は特に注意すべきです。駐車場内のトラックを見て洗車状況を推測します。特に食品等の消費財の運搬を行っている場合や荷送人の製品ロゴ等が車体に書かれている場合は常時洗車が必須であり、受注に大きな影響を与えます。
一方、木材運搬等、常時山道を走行する業務の場合は定期的な洗車で構わないなど仕事内容によって求められる洗車基準は異なります。その会社の業務内容から判断してください。