大型ドライバーは、普通自動車のドライバー以上に運転技術が求められます。
同時に、大型車の特性ゆえに免許取得に当たっては、身体的な条件も厳しくなっています。
その大きなポイントが深視力と呼ばれるものです。
教習所に通うにしても一発試験にトライするにしても、必ず免許センターにて深視力検査を受ける必要があり、パスできないと免許は交付されません。
また、すでに免許を持っているドライバーも、毎回の免許更新時に深視力検査を受けることになっています。
そこで、そもそも深視力検査とはどんなものなのか、検査をパスするためのコツはなにかといった点を考えてみましょう。
大型免許取得に必須の深視力検査とは?
深視力というのは、見えている物までの距離や、二つの物の距離の差、物を立体的に把握する能力のことです。
大型車を運転するためには、運転している車が通れる幅があるのか、もしくはこすらない高さがあるのかといった判断ができないと大きな事故につながってしまう恐れがあります。
そこで、奥行きや高さ、両脇にある障害物の距離の違いなどを察知するために、深視力検査が設けられているのです。
普通自動車の場合は、運転する車が小さいため、そこまで深視力が求められているわけではありません。
しかし、実際に道路を走っている車を見ると、必要以上に右や左に寄っている車や、壁や前方の車との距離が非常に近い車を見かけることがあります。
こうしたケースでは深視力があまり強くなく、安全な距離を保てていない可能性があります。
もし、それを大型車で同じようにしてしまうと、サイズが大きいため事故に直結してしまうのです。
深視力というのは、通常の視力とはまた違う能力です。
そのため、いくら視力が2.0以上あるなど、とても眼の良い方でも深視力が悪いというケースも見られます。
そのため、大型免許の適性検査では必ず通常の視力とは別に、深視力検査というものを行います。
ちなみに、深視力検査は大型免許だけでなく、けん引免許やタクシーなどを運転する二種免許を取る際にも受ける必要があるものです。
実際の深視力検査は、「三棹法」という方法で行われています。
これは、3本の棒が並んで立った状態にあり、そのうちのセンターに置かれている1本の棒が前後に動きます。
そして、両脇の棒とちょうど同じ位置に来たら、つまり3本の棒が並んだら合図をするという形で検査をします。
試験では、2.5メートル離れたところに立って、合計で3回検査を受けます。
そして、3回の合計が平均で2.5センチ以内であれば合格となります。
話を聞く限りでは、真ん中の棒がサイドの棒と同じ大きさになったらボタンを押せば良いだけと、簡単に聞こえるものです。
しかし、実際にやってみるとなかなか距離感がつかめずに、何回も失敗してしまうという人も少なくありません。
運転技術はとても高いレベルにあるのに、この深視力検査に受からず、とうとう大型免許を取れないという人もいるほどです。
それだけに、大型免許を取りたいと思っているのであれば、教習所の技能試験への準備だけでなく、深視力検査についてもあらかじめ考えておいた方が良いでしょう。
いきなり免許センターで検査を受けて、よく分からないまま外してしまうことになると悲惨な結果になりかねません。
深視力検査のコツとトレーニング方法について
まずは深視力検査のコツを確認しておきましょう。
深視力検査をパスするためには、まず3本の棒の長さ、もしくは高さが同じになるタイミングを見極めます。
そして、3本の棒の太さが同じになる時を探します。
最後に、3本の棒を見る際のピントがすべて合うタイミングを待ちます。
これらのタイミングが合う時に、3本の棒が平行になっているので、その時にボタンを押せば良いのです。
といっても、検査中に3つのタイミングを同時に見つけようとしても、迷ってしまいタイミングが遅れてしまうことになります。
そのため、自分にとってより判断しやすい見方でタイミングを測るのがベストです。
多くの人にとって判断しやすいのが、3本の太さが同じになるタイミングです。
センターの棒が自分に近いところにあれば太く見えますし、遠くにあれば他の2本の棒よりも細く見えます。
この違いを目に焼き付けて、3本が同じ太さになる時を探します。
このトレーニングとしておすすめなのが、メガネ屋さんにある深視力測定器具で練習させてもらうことです。
多少の料金がかかりますが、免許センターで使うのとほぼ同じ器具があるので、そこでトレーニングすると感覚をつかみやすくなります。
まとめ
大型免許を取るに当たっては、技能試験の他に深視力検査が大きな壁となることがあります。深視力は普段の生活ではあまり気にしないものなので、いきなり適性検査でやっても難しいという人もいます。そのため、事前に距離感の合わせ方のコツを覚え、できるだけトレーニングしておいた方が良いでしょう。