2020年の東京オリンピック開催が刻々と近づいています。すでに、建設業界などでは需要の大幅増加で、業界全体が潤っている状態です。運送業・物流業でも需要の大幅増加が見込まれます。オリンピックイヤーを迎えて、運送・物流業界の仕事はどのように変わっていくのか、詳細を見ていきましょう。

<目次>


オリンピックイヤーで
運送・物流業の需要は高まる

オリンピックイヤーによって、運送業・物流業の需要はますます高まってきます。まず、オリンピック開催に伴って、オリンピック競技関連の物資を会場や選手村に大量に運ばないといけません。当然、運ぶのは運送業者になります。オリンピック関連の団体やスポンサー企業から運送業者に依頼が入るため、運送業者はオリンピック期間中、フル稼働になるでしょう。また、競技関連の物資のみならず、日本に来る外国人観光客の荷物運送なども運送業者が担う場合があります。滞在先のホテルまで荷物を届けて欲しいと考える外国人は意外に多いのです。


オリンピックイヤーで
運送・物流業界の仕事は変わる?

オリンピックイヤーとなり、運送・物流業界全体で、「ドライバーの待遇を改善していく」機運が高まっています。具体的には、国土交通省が主体となって、トラックドライバーの働き方改革が進められています。トラックドライバーの長時間労働の是正や荷主のコンプライアンス強化など、国土交通省がドライバーの待遇改善を働きかけています。ただ、法律とは異なり、国土交通省の要請には強制力はありません。現実は、国土交通省の掲げている働き方改革は理想論となってしまっており、現場のドライバー不足は解消されていません。


オリンピックイヤーで
ドライバー不足はさらに深刻に

オリンピックイヤーによって、ドライバー不足はさらに深刻になることが予想されます。ドライバーが集まらない要因は、「長時間労働にも関わらず、賃金が低い」ことが第一に挙げられますね。額面だけ見ると、トラックドライバーの月給は、他業種と比べてそこまで悪いものではありません。ただ、拘束時間が長いために、時給換算をすると額が低くなってしまいます。「時給が低い」ということは、「効率的に働けない」ことを指しますので、プライベートなど仕事以外のことも大切にしたいと思っている人たちからは、ドライバー職は敬遠されてしまうのです。


ドライバー不足を解消するためには?

深刻なドライバー不足を解消するためには、「ドライバーの賃金を上げる」ことしか現状はないと思います。これは介護業界、建設業界にも言えることですが、重労働、長時間労働のわりに賃金が低い職種は、人々の人気を集めにくいです。仕事が大変でも高給であれば、それなりに人は集まってきます。ドライバー職も、「忙しいけれど、たくさん稼げる」仕事にしていかないと、人手不足を根本から解決することは難しいです。

大手運送業者は、中小の運送業者よりも賃金は高い傾向にありますが、「稼げる仕事」かどうかといわれると、明確にYesとは言い難いですね。運送業自体が、利益率が低い業種であるため、会社の利益を上げるにはドライバーの給料である「人件費」を抑える必要があるのです。ドライバーの賃金を上げてしまうと、会社の売上が小さくなってしまい、会社を維持することが困難になります。ここまでドライバー不足が深刻になっているにも関わらず、ドライバーの賃金が上がらないのは、このような業界全体の背景も関係しているのです。


トラックドライバーとして
働きたい人にはチャンス

賃金を第一にせず、「やりがいをもってドライバーをやりたい」と思っている方にとっては、現在のドライバー不足状態はむしろラッキーな状態と言えます。大手運送業者でも、それなりにドライバー募集をかけていますので、比較的簡単にドライバーとして就職することができます。

ドライバーとしての就職でネックとなるのが「中型、大型免許の有無」が挙げられます。これらの免許は、教習所に通って取得する必要があるため、どうしても時間がかかってしまいます。ただ、普通免許でも運転できる小型トラックであったり、ワゴン車を使った運送であれば、中型・大型免許といった特別な免許はいりません。最初は、通常の乗用車で運転スキルを磨きつつ、中型・大型免許へステップアップしていけば、むりなくドライバーのキャリアを積めます。

注意点としては、いくらドライバーが売り手市場の状態だからといって、何も調べずに運送業者へ就職することは避ける点が挙げられます。これは運送業に限ったことではありませんが、世の中にはどうしても「ブラック企業」と呼ばれる企業が存在します。働いた分の給料がもらえるのが当然であるのに、大量のサービス残業を課される企業に入ってしまっては、心身を壊してしまいます。就職前の企業リサーチには、多少お金をかかるとしても、徹底して行うことをおすすめします。


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