運送業を行う場合、他業種には適用されていない法律を遵守することになります。法律を守らないと、国から罰金や業務停止を受ける場合があるので、必ず遵守しなければなりません。今回は、運送業者が知っておくべき法律を分かりやすく解説していきます。


運送業法律の最重要『貨物自動車運送事業法』

運送業で最も大切な法律が「貨物自動車運送事業法」です。貨物自動車運送事業法は、貨物自動運送事業の運営を正しく行うことを目的に制定された法律です。健全な貨物運送事業を行うために、運送事業者は必ず守らなくてはいけません。
貨物自動車運送事業法では、

に条件を設けています。

営業所

営業所に関して、以下の条件が設けられています。

  • 建物が都市計画法や建築基準法そして農地法などの法令に反していないこと
  • 営業所として適切な広さがあること
  • 借入の場合は1年以上の使用権限を持っている事

運送事業を行う場合、多くの貨物を収容することになるので、各条件を満たした営業所が必須となります。

車両数

車両数について、営業所ごとに運行できる車両が「5台以上」なくてないけません。ただし、この車両数はあくまでも営業所を設置するための最低条件であり、実際の業務では5台以上のトラックが必要になるケースもあります。

車庫

車庫に関しても、営業所の条件と同様に「都市計画法」「建築基準法」「農地等の法令」に違反していないことが条件になります。加えて、保有している車両がすべて収容できる広さも必要です。更に、車庫の立地が「営業所から10キロ以内」であることも必須です。ただし、東京特別区内、横浜、川崎などの都心部の場合は「営業所から20キロ以内」という条件になっています。これは、トラックを収容する十分な土地が確保しづらい状況を考慮しているためです。
これらの条件に加えて、

  • 前面道路幅が6.5メートル以上
  • 営業所が借入の場合は、1年以上の使用権限

も条件として含まれます。

休憩、仮眠施設

休憩、仮眠施設を保有する場合も、「都市計画法」「建築基準法」「農地法」に触れないことが条件となります。眠るスペースは、1人あたり「2.5㎡以上」であることが必要で、「体を休められる十分な広さ」が求められます。
休憩、仮眠施設は原則として「営業所や車庫に併設してある」ことが条件となります。また、施設を借入している場合は、1年以上の使用権限も必要です。

運転資金

運転資金は「申請直前の預金残高証明書に記載された金額が100%以上である事」が条件となります。事業開設の許可が下りるまで、資金を口座に入れた状態にしなくてはいけないので、注意してください。目安としては、「人件費」「燃料費」「修繕費」「タイヤチューブ費」など、運送業務に必須の費用の「2か月分」を保有しておくと安心です。

貨物自動車運送事業法に違反するとどうなる?

貨物自動車運送事業法に違反して、運送業を始めた場合、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」となります。悪質だと判断されると、3年以下の懲役と300万円以下の罰金の両方が科されることもあります。認可を受けないで事業を開始することは歴とした犯罪です。必ず、認可を得てから運送事業を行うようにしてください。

運送業の経営者が知っておくべき法律

運送業の経営者が知っておくべき法律として、

があります。

都市計画法

都市計画法は、都市の健全な発展を目的に制定された法律です。営業所の建築基準や建築規制などが定められています。営業所の立地に関する条件も、都市計画法によって規定されています。

建築基準法

建築基準法は、建築物の敷地・設備・構造・用途についての最低基準を定めた法律になります。建築法規の基盤となる法律で、都市計画法と同様に、事業者は遵守しなくてはなりません。

労働基準法

労働基準法は、労働時間や勤務日数など従業員の労働に関する基準を規定した法律です。労働基準法に沿って、従業員の勤務体系を設定する必要があります。運送業は、一般的に長時間労働になりやすいので、労働基準監督署からのチェックが厳しいです。労働基準法で定められた労働時間を超える場合は、監督署へ届け出る必要があります。

会社法

会社法は、企業の形態や社則の設定など、企業設立や企業運営の規則に関する法律です。大企業、中小企業を問わず、会社法のルールに従って起業・運営を行う必要があります。個人事業として運送業を行う場合は、会社法のルールは適用されません。

その他の運送業者関係で知っておくべき法律

上記で紹介した法律以外に、

も遵守しなくてはなりません。

道路を走行する際の決まり

道路を走行する際の法律として「道路交通法」があります。道路交通法は、道路における安全と円滑を図る目的で制定された法律です。運送業者のトラックドライバーは、道路交通法のルールに従って運送業務を行わねばなりません。違反すると、懲役刑、罰金刑などが科されます。

事故が起こった際の決まり

事故が起こった際に遵守する決まりとして「自動車事故報告規則」があります。事故を起こした場合、「自動車事故報告書」を作成して、国土交通省に提出することが義務付けられています。報告書の提出を怠ると、役所から指導が入り、悪質な場合は業務停止命令が下ることもあるので、事故を起こしたら必ず報告を行うようにしてください。

車の点検・整備に関しての法律

車の点検・整備に関する法律として「道路運送車両法」があります。こちらの法律には、トラックなどの運送車両が道路を安全に走行するためのルールが記載されています。車両ごとの保安基準が設定されているので、運送業者は必ず守らなくてはなりません。

車の整備記録はシステムによる管理がオススメ

車の整備不良等による法律違反を防ぐためには、徹底した車両管理が必要となります。その車両が「いつ」「どこで」「何の」整備を行ったか、車検切れていないか等、確実に記録を残すことで整備不良に起因する法律違反を防ぎます。
車両管理の方法の1つとしては、エクセルのテンプレートを利用することが挙げられます。使い慣れた方が多いツールであり、入力項目を自由にカスタマイズでき、費用を抑えて管理することが可能です。ただし、管理する車両が多くなればなるほど入力が煩雑になったり、多少なりとも手入力である以上、入力ミスや関数のミスの発生、また車両情報の入力に時間がかかる点は否めません。
その点、管理システムを活用すれば入力にかかる時間の大幅な短縮や入力ミスの軽減ができるだけでなく、ドライバーの管理や動態管理等の会社経営に関わる膨大なデータを一元管理することも可能となります。

ドラEVERの運SOULでできる車両管理

  1. 業界初!【自動更新】かんたん車検証登録

    車検証の「ナンバー情報」「車台番号」を登録することで、これまで面倒だった車両のマスター登録が完了します。なお登録された車検証は国土交通省のデータベースと自動連携し、常に最新の車検証情報が閲覧可能となります。
    また、一度登録した車検証情報は、車検の更新時に自動で更新されます。
    「運SOUL」を導入することで、車検更新時に1台ずつ社内管理していた車両台帳の差替えや、それに付帯するアナログな更新業務など、事務作業を大幅に削減することが可能です。

  2. 請求書アップロードで原価カンタン集計

    燃料費・整備費・高速料金など、請求書データをアップロードいただくことで、どの車両でいつ、どこで、何に、いくら支払っているかといった原価を集計し、一元管理することができます。

  3. 行政処分など企業リスクを軽減!更新漏れを防ぐアラート機能

    国内で多発している車検切れ走行発覚による行政処分などを未然に防ぐため、「車検切れアラート機能」を搭載しています。この機能は、車検更新日の45日前、15日前、当日にアラートをメールやFAXで通知するものです。
    車検切れ運行は、車両を運転する従業員の免許停止や、会社の信用失墜に直結します。「運SOUL」を導入することで、車両管理だけではなく、会社のリスクマネジメントにも役立ちます。