今ニュースでも話題になっている新型コロナウイルスですが
タクシー運転手をやっていれば中国人のお客様と接触する機会も
多い職業です。
また、羽田のタクシープールなどでつけ待ちする方もウイルスを貰う
確率が高いですよね。
つい最近、都内のタクシー運転手が感染したこともあって
「ついにタクシー運転手で感染者が出たか!」というのが
正直な感想です。
多くの運転手もいつかはニュースになると思っていたことでしょう。
そこで、気になるのがこの新型コロナウイルスやインフルエンザは
労災として認められるのか?
運転手は体が資本の職業で、歩合給ということもあり
仕事を休めば収入が0になってしまいます。
そこで、これらの病気で労災が認められるのか?
見ていきましょう。
労災とは
そもそも労災とは一体なんなのか?
労災とは労働災害のことで仕事の業務中に従業員が被ったケガや疾病(病気)
などの災害に対して給料や治療費を保証する制度のことを言います。
正式には労災保険制度と言われています。
これは会社側が従業員を1名以上雇っている場合
必ず労災保険に加入してなくてはいけないことになっています。
ちなみに、社長や経営者の人は労働者という扱いではないので
労災を受けることはできません。
そして、この労災には2種類あります。
業務災害
業務災害は文字通り業務を行なっている時にケガなどをした場合のことです。
通勤災害
通勤災害は文字通り通勤途中や帰宅途中でケガなどをした場合のことです。
タクシー運転手で新型コロナウイルスになった場合(労災)?
タクシー運転手をやっていて新型コロナウイルスになった場合
一般的に考えて業務中に感染して病気になったと考えるのが普通ですが
残念ながら新型コロナウイルスでの労災が認めらる可能性は正直低いです。
というもの、労災認定のポイントはタクシーの業務とコロナウイルスになった
因果関係が認められるのか?というのが大きなポイントです。
運転手からしてみれば、確かに仕事で感染したと思うし、事実だとしても
それを証明することが大変難しいということがあげられます。
100%業務中に感染したのか?と言われればそれは正直わからないと思います。
ベルトコンベアーに巻き込まれて事故にあったという場合は100%業務中にケガを
したことを証明できますが、ウイルス系の問題は100%を証明することが難しいのが
現状です。
私たちタクシー運転手はお休みが多い仕事でもあるので
休日に人混みに行って感染した可能性も否定できないことが
新型コロナウイルスで労災が降りないポイントの一つです。
バス運転手がコロナウイルスになって労災が認められる可能性について
書かれた記事があります。
中国の湖北省武漢市を中心に、新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている。1月28日には武漢への渡航歴がないバス運転手の男性が、日本人では初めて新型コロナウイルスに感染していると確認された。
朝日新聞(1月28日)によると、男性は1月6~11日、12~16日の2回、武漢市からのツアー客を乗せた。1月14日に寒気やせき、関節の痛みが出て、22日に症状が悪化。25日に病院で肺炎の症状が確認されたという。
また、1月29日には、同じバスに乗っていたバスガイドの女性も新型コロナウイルスに感染していると確認された。
長い時間同じ空間にいたため、ツアー客から感染した可能性が高いと考えられている。業務中に感染したとすれば、労災になるのだろうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いた。
●「労災認定される可能性が十分ある」
ーーこれは業務上災害と言えますか。
労働基準法施行規則をもとに考えると、今回の新型コロナウイルス感染は「その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病」に該当し、労災認定される可能性が十分あると思います。
ただし、これは裁判所の判断を拘束するものではありません。
ーー労災認定のポイントはなんですか。
因果関係が問題になります。男性の新型コロナウイルス感染に「業務起因性」が認められるかを考えていきます。
まず、今回の件は、男性が業務のため観光バスを運転していた際に、コロナウイルスに感染している可能性のある観光客とバス内で長時間一緒にいたという客観的な事実があります。
一方、男性の居住地である奈良県において、コロナウイルスの感染報告はそれまで他になく、ご本人も感染の中心となっている中国への渡航歴もありません。
バス乗務以外の私的な原因でコロナウイルスに感染したとは考えがたい状況からすると、今回のコロナウイルスの感染はバス乗務中に引き起こされた可能性が高いと考えられます。
出典:朝日新聞
この状況下でも労災として認定されるのか分からない状態です。
この文面からも明らかに武漢の人たちを乗せて感染したと考えるのが普通です。
今ある労災認定のポイントを変更して欲しいと切に願うばかりです。
なので、タクシー運転手で新型コロナウイルの労災は高い可能性で
認められないというのが現状です。
また、労災が仮に認められた場合は
会社側は翌年に負担する労災費用が値上がりするので
従業員に労災申請をして欲しくないという意図もあります。
タクシー運転手でインフルエンザになった場合(労災)?
ここまで読んだあなたはタクシー運転手で業務中に
インフルエンザになっても労災が認定されないことがわかったと思います。
ウイルスは目に見えるものではないですし、あらゆる生活場面に
存在しています。
業務外で感染した!と言われれば完全に否定するのは難しいのが現状です。
腰痛も労災になる可能性がある?
ウイルスではないですが、タクシー運転手は長時間座っている職業でもあるので
腰痛に悩まされている方も多いのではないでしょうか?
この腰痛も労災認定される可能性は極めて低いです。
トラック運転手の場合は荷物の積み下ろしの作業があるので
その時に重たい荷物を持って腰痛になった場合などは認められる
ケースがありますが、タクシーで長時間座っているから腰痛になって
労災が認められるということはないようです。
まとめ
いかかでしたか?
タクシー運転手として新型コロナウイルスやインフルエンザでの労災が
認められる可能性は極めて低いことが分かりました。
私たち運転手としては労災を認めて欲しいところですが
翌年に会社側の労災費用が上がったりするので
労災を申請しづらい環境もあります。
マスクやアルコール除菌などをして資本の体を
個人個人で守っていくしか術はないのが現状です。
また、お客様と新型コロナウイルスの話になった時に
オススメの商品を教えてもらいました。
電源などが不要で置くだけ空間を除菌してくれる
置き型の空間除菌剤です。
こんな商品があるとは知らなかったので
タクシーの社内は密室なので、これを一つ置いとくだけでも
だいぶ違うのかな?と思っています。
どちらにしてもタクシーと労災は認められずらい環境にありますね。
出典:タクシーの専門書