なぜドライバー不足が起きているのか。
ここ最近のドライバー不足は深刻だ。
なぜドライバー不足が起きているのか。
重労働のわりに給料が安く不安定、こういった状況が世間のイメージとして定着しているせいもあるだろう。このような職種に魅力を感じて働きたがる若者は珍しく、今や平均年齢50歳以上の会社が増えている。
ではなぜこういったイメージが定着してしまったのか。そこには、他業種の方たちから見れば“環境が業務体質まで変えてしまうのだろう”と思わせる就業実態がある。
ひとつ挙げるとすれば、それは事故や、遅延といった自身の注意だけでは避けられないトラブルにおいて賠償金が請求されるという点だ。
事故の修理費用として相手先の修理費は会社が保険対応で支払ってくれるが、自車の修理代を請求された場合、4t車クラスであれば300~800万円を請求されるケースもある。その場合、通常一括で支払うのは難しいので、分割払いで毎月給与より定められた金額を支払う、といった同意書に署名を促されるのだ。商品破損や、納品遅延も同じように扱われることが多い。
さらに労働環境の悪さも目を引くものがある。
それはサービス残業、見せかけの業務委託の横行である。
基本的にドライバーの就業時間の目安として出勤~退勤までを12時間以内で組み立てている企業が大半ではないだろうか?もし、ドライバーが仕事を終え事務所に戻ってきたときに他のドライバーから欠勤の連絡が入った場合などは、まず委託先の会社に打診をするのが一般的である。
しかしそこで傭車先が見つからなかった場合、おそらくは先ほど帰ってきたドライバーに、もう一便走れないかと相談するのではないだろうか。もちろん明日の運行は無しにするからとか、歩合給を付けるから、などといろいろな条件を付けてお願いすることもあるだろう。
そのドライバー自身は、気を張って帰ってきたばかりで体も神経も緊張状態にあることから、“もう少しやれる!”と脳が錯覚を起こして「走れます」と答えてくれることもあるだろう。
そこに甘えが生じ、いつかはお互いに麻痺状態に陥るのだ。
そして、長時間労働からくる体調と精神状況の変化は、出発してから数時間後に現れ、居眠り運転、そして重大事故へと繋がる。それがニュースとなり、過酷な労働環境が引き起こした悲惨な事故として世間へ知れ渡って、冒頭のような負のイメージとして世間に定着する。
まさに悪循環である。
人を集めるということ
少し話がそれてしまったが、当サイト「ドラEVER」の存在意義と目的をお話ししよう。
我々の行っている求人サービスは、現時点においては残念ながら業界の発展を促せる環境にない。それはドライバーの人口が年々減少傾向にある中、ライバル会社たちの弾の撃ち合い(ドライバーの企業間の転職)に加担しているに過ぎないからだ。
今は当サイトに掲載企業を増やすことに注力し、思いを温存しているのだが、こちらについては後述する。
まずは今、一企業ととしてできることを伝えよう。それは、ライバル会社との戦いに勝ち残り、業界内の競争を有利に進めるための努力をすることである。
第一にドライバーの確保である。ドライバーが確保できれば、既存従業員の休息時間を増やすことができ、過労による事故を抑制し、ひいては25%増しの残業代金の支払いまで抑えることができる。さらに言えば、今ほとんどの会社ではドライバー不足により空車がみられる。車というのはただ持っているだけでも金がかかる。車検・保険・税金、急な使用に備えた点検である。新しい車両であればさらに減価償却というキャッシュは出ないが費用が発生する。表面的に見て黒字であるが減価償却不足に陥っている会社の場合においては金融機関から支援が受けづらくなるということは私自身も経験済みだ。
ドライバーを確保することで、業界内の競争を有利に進めることができるかはお分かりいただけただろうか。しかし現状、人事対策に真剣に取り組んでいるのかと問われれば、自信をもってイエスと答えられる企業は少ないのではないだろうか。
よく現場の責任者の方から聞こえてくるのが「あそことここで30万円募集かけて、これで来なかったら広告会社を呼びつけ文句を言ってやる」というものだ。おかしな話である。
結果応募が無かったとしても、人手が足りないと現場から再び声が上がれば「またあそこの求人出しといてくれ」と言い、応募要項の確認すらしない。そもそも現場から「人出が足りません!何とかして下さい」と言われて広告を出しておくよう指示を出すだけでいいのだろうか。本来ドライバーの確保は現場ではなく会社が対策をしなければ何の解決にもならないのでは?と思うのだ。
おそらくそこには責任者としての怠慢があり、ひどい場合、“足りなかったらお前が走ればいい”などという心積もりでいる責任者も少なくないのでは、とさえ思う。
このような惰性で募集をかけたところで、ドライバーの確保などできるはずもない。
重要なのは集め方なのある。
ここで私の実践したことを紹介しよう。
私は焼肉店を経営していたのだが、そこで定期的に地域の情報誌やフリーペーパー、ネットのリスティングを使い、カルビ1人前無料券などを発行して集客を行っていた。広告を出稿すると必ず費用が掛かるが、まずは一度来店してもらい、満足して帰られたお客様の「リピート」により、掛けた費用を上回る収益を期待してのものだった。
そのころも運送業を営んでいた私は、この飲食店の集客をヒントに、求人広告に「クーポン」をつけられないものかと考えた。早速求人媒体最大手の会社に入社祝い金の出稿を申し出たところ、“法に抵触する可能性があるため内部にて調査を行います“との回答があった。それから3か月ほどたった時である。
いつものように求人の営業売り込みがあったのかと思っていたら、「内部調整がうまくいきました!」とのことであった。
そして私は入社祝い金を初めて導入したのである。その広告の効果は絶大であった。
2人採用できれば十分なところであったが10名以上の応募があり、8名を採用したことを今でも鮮明に覚えている。これにより当社は飛躍的に車両を増やすことに成功し、売り上げも2倍にまで及んだ。
詰まるところ「工夫」が大切なのである。
いつものように同じことの繰り返しでは訴求先である求職者には何も届かず、またこの求人か!というように、いつも同じ広告を出してる人の来ない求人と取られ、逆効果になってしまうからだ。しかし、上記のような工夫を考え実行するのは、通常業務に勤しむ採用担当者にはなかなか難しいというのが現状だ。
そこで私たちドラEVERは、お客様の採用担当に成り代わり、今一番効果の出る方法を日々研究し、アドバイスを行うことに注力している。
どんなドライバーが欲しいのか。
ドライバーの高齢化が進んでいる今、若者を中心に採用をしたい場合、TVコマーシャルなどでもよく耳にするネット求人に出稿するのが主流である。スマホの普及率が圧倒的なスピードで伸びていることから見ても、紙媒体よりインターネットでの求人、さらに言うならばスマホからのアクセスが加速していくことは明らかだ。
ドライバーで見るならば猶更である。荷物の出待ちや配送センターでの荷降ろし待ちでの時間つぶしはほとんどの場合スマホになるだろう。これは当サイトのユーザー分布からも見て取れる。
- 35~44歳37.98%
- 25~34歳28.82%
- 45~54歳19.79%
- 18~24歳7.5%
- 55~64歳4.72%
- 65歳以上1.19%
男女比 男性83% 女性17% スマホ73%以上
※平成28年3月12日~6月11日までの23万PVをデータとする。
また、ただネットに掲載するだけなら今まででもいくらでもチャンスはあったはずであるが、求職者に向け活字・画像以外のアプローチを行った経験はないのではないだろうか?
トラック協会においても人手不足対策として企業プロモーションも多く活用し、人材確保を行うように発信している。
ここに我々ドラEVERは着目し、社長や現場の管理者、ドライバーのインタビューを通して企業とその仕事の魅力を伝え、且つ、気に入ってくれた求職者がいたのなら会社の門を叩いて欲しいと思い、動画を盛り込んだ本サービスを開始したのである。当社には撮影・編集の技術者が数多くいるが、弊社のガイドラインとして誇大広告になるような編集手法は盛り込まず、企業のありのままを紹介させて頂いている。
なぜありのままに拘るのか。これも皆様もすでに経験されていることと思うが、あえて書いてみることにする。
問い合わせが来ていざ面接となった時-
- 面接に来るといった日時に来ない。
- 連絡が取れない。
- 来たのはいいが、面接中に明らかに辞退しそうな志願者に対し数時間かけて説得(もはや面接とは言わず口説いているに近い)するも後日辞退の連絡が来る。
もはや、ドライバー面接あるあると揶揄してもいいほどである。
では、なぜこのようなことが起きるのかを考えてみよう。
掲載されたイメージ写真と、良さそうな求人情報を見て問い合わせたものの、面接先のリサーチが十分でなく後から自分の想像と大きく乖離した現状を知ってしまったからではないだろうか?
このような時間は、求職者にとっても採用担当者にとっても、生産性がない無駄な時間である。
その無駄を極力省けるように、検索条件の細分化・絞り込みが出来るよう工夫し、よりドライバーの希望に沿った企業へのアクセスの簡略化を可能にした。また、多くの情報をあらかじめ伝えることが出来るインタビュー動画を掲載。会社を知ってもらいミスマッチを無くすことで、この会社で働きたいという思いを持った、本当の志願者に面接に来てもらう。そうして、面接の採用率を各段に上げようと開発したサイトが「ドラEVER」なのだ。
ドラEVERの存在意義と目的
我々の仕事はドライバーを増やすことだ。分母の数を増やさずに、限られたドライバーを企業間で移動させているだけではダメなのである。
そのためには、他業種で働く方にドライバー職に興味を持ってもらう。また、これから働く若者にドライバーを目指してもらえるよう、運送業の社会的地位確立と向上を認めさせること、そして世間のドライバーに対するイメージを変えていくことが重要でなのある。
人の信用を勝ち得るためには相当な努力と期間が必要だ。だが、積み上げたイメージを一瞬にして台無しにすることは非常に簡単であっけないものだ。
まずは行動として法令の遵守があげられる。これは大企業を除き中小零細にとってはかなり難しい問題ではないだろうか?点呼に始まり社会保険、拘束時間、過積載・・・数え上げたらきりがない。ひと昔前まではほとんど黙認項目であった。
しかし今、状況は大きく変わり、守ること、守れることが当然なのである。今すぐ改善しろと行政は言うが、問題は山積みだ。着実に一つずつクリアしていこうと努力するが、金も人も仕組みも無い。そこからのスタートだ。
何か一つのきっかけさえあれば劇的に変われるのに、と思っているが待っているだけでは始まらない。ドラEVERはそのきっかけづくりには最適だ。ドライバー求人、仕事のマッチング、さらに現在製作途中であるが、スカウト機能を搭載した画期的なサービスが提供できる。
次にイメージの話だ。
私の経験談を紹介しよう。
今から12、3年前に当社が取引していた中堅の食品会社の役員から呼び出しがあった。その内容はドライバーが「土足」したから謝りに来い!というものであった。
何のことかわからず現場に向かった。現場に着いてみるとそこは食品工場への入り口であり、衛生区域と書かれていた。そこには土足厳禁と書かれたプレートが置かれているのだが、ドライバーがそのプレートを土足でまたいで現場へ入り、積み込みを始めたとのことであった。これには私も驚き、すぐさま謝罪したことを覚えている。さらにクレームは続いた。
あまりに多過ぎてすべての内容は覚えられなかったが、一つだけ胸に刺さった言葉があった。
それはどういう一言かと言うと、「お前は一体どういう教育をしたらこんなことが起きるんだ」という言葉であった。私はすぐさま「すみません!以後気を付けます」という言葉を発したのだが、一つだけ引っかかることがあり、意を決して発言した。
当時25歳の若造であったとはいえ、今でもなんであんなこと言ったんだろうと後悔すら覚える。以下にその時の会話を再現する。
「お言葉ですが、そもそも、面接のときに土足はしないでくださいね!人のものは盗まないでくださいね!人のことは叩いてはいけません、などと言いますか?言わないですよねぇ?それは会社での教育ではなく親のしつけではないでしょうか?そこまで言われても私は責任とれません!」と言ったのである。もちろん相手の役員は大激怒したが、言っていることは分かるとしながらも、それでも会社は雇い入れた責任として教育・しつけは怠ってはならないと再度諭された。
私も含め、ドライバーという職業を選択した方の中には集団行動が苦手で、堅苦しい決まりのある会社には務めたくないという人が多かったように思える。そのような背景があるせいか、かつては一般的にドライバー職にあまりいいイメージを持たれなかったのではないだろうか。
しかし今は、荷主企業様が陣頭指揮を執り、率先して教育プログラムを組んでいただけていることで、ドライバー自身の意識が高まり、以前よりドライバーのイメージが大幅に向上したのではないかと思う。しかしここへきてドライバー不足から、会社にとって適正では無いが仕方がなく敷居を下げ、採用に至る企業が生じることで、ドライバーの資質に欠けた人が増えてしまうのでは?と懸念する。
ドライバー職のイメージアップの為には、現状行っているドライバーの社内教育を怠らないこと、また、ドライバー自身も社内教育を怠らず、意識を高め、社会に向けて重要な役割を担っていること、良いサービスを提供するため日々努力していることを、世間にアピールしていくことが重要なのだ。
ここで先に言った我々の“思い”について話そう。
サラリーマンといえば、朝、スーツを着て電車通勤をし、ネクタイを締めて仕事をする人達を連想してしまいがちだが、ドライバーであっても同じサラリーマンである。
だが、イメージとしては作業服<スーツというように比較対象にしてしまっているのではないだろうか?
そういう所からしていろいろと腑に落ちないところがある。
そのイメージを払拭するために、私たちはドラEVERという情報発信ツールを駆使し、ドライバーの仕事内容を社会のみんなへ広げていく活動をしていきたいのである。
ドライバーの仕事はどんな仕事?と聞くと、ほとんどの人が宅配便やタクシー、バスを想像する。
実際にはそれはドライバー職の一片にすぎず、本来奥が深い職業なのである。例として、農家から野菜を運び、超近代的な配送センターの設備で仕分けされたものを、決められた時間軸の中で配送するシステム物流などがあげられる。それこそ汚れない、頭を使い工夫をしながら行う仕事もたくさんある。営業だってある。配達先の人から見たドライバーはその商品を販売した会社の営業マンにだって映る。
こういう仕事の詳しいことを発信しないのは非常にもったいないことだと私は感じる。だからこそ企業は情報をまとめ、的確に求職者へ向けPRしなければならない。これも一つの行動でありキッカケづくりである。まだまだやれることはたくさんあると思う。このような簡単なことも実践せずにドライバーが増えてくるとは到底思えない。
世間のイメージを変えるのは容易いことではないだろうが、ドライバー職とは実に幅広く、色々な仕事が存在することを当サイトから知ってもらい、イメージではなく実際の姿を伝えることで、本来の価値を見ている人に見出してもらいたいのだ。
まだドラEVERは開設してから1年ほどであるが、多くの企業様より支持をいただき現在がある。これからも運送業界の発展、繁栄に貢献できるよう努めていきたいと思う。