運送業は巷で「やばい」仕事と言われることが多いです。では、そもそもなぜ「やばい」と言われているのか、詳細を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。今回は、運送業が「やばい」と呼ばれる理由を徹底解明していきます。
<目次>
運送業だと事故発生率がやばい!
まず、運送業が「やばい」理由として挙げられるのが「事故発生率が高い」という点です。厚生労働省の発表によると、平成30年度における陸上貨物運送事業において、従来から発生していた「墜落・転落」「店頭」「動作の反動・無理な動作」による死傷災害が増加して、死傷者数が前年を上回りました。死傷者数の人数は、15,818人となっていて、前年から7.6%増加しています。
労働災害の頻度を表す「死傷年千人率」の数値は8.89%となっています。他業種の比率が、2%台であるのに対して、運送業の死傷年千人率は突出して高い数値になっています。事故発生率が高いということは、必然的に「命を失ってしまうリスクが高い」ということになります。
独身で働いている場合はまだしも、家庭をもっている場合、自身が亡くなってしまうことで残された家族の生活が立ち行かない場合もあります。運送業の仕事は、常に危険と隣合わせであることを認識しなければなりません。
運送業のクレーム処理がやばい!
宅配便など、個人宅への運送業の場合、利用者からのクレームが多くなる傾向にあります。近年、AmazonなどのECサイトの発達によって、運送業者が取り扱う荷物の量は劇的に多くなりました。Amazonでは時間指定配達や再配達も可能であるため、運送業者の仕事を増やしてしまう要因になっています。配送予定時刻が少しでも過ぎると、利用客からクレームが飛んでくることもしばしばです。
運送業者側が時間通りに配達しても、留守であるケースも多く、度重なる再配達に時間をとられてしまうこともあります。再配達で留守の際、「なぜ電話をいれてくれなかったのか」など、理不尽なクレームが寄せられることもあります。
また、包装や梱包の不備があった場合も、運送業者にクレームが入ることがあります。包装、梱包は発送元が行うものなので、運送業者は関係ないのですが、受け取り側からすると「運送業者が不備を招いた」と感じることが多いようです。
このようなクレームは、利用者が運送業者を下に見てくることから生じてくるものでもあり、運送業者の悩みの種となっています。
運送業のやばい労働環境とは
運送業で働くトラックドライバーは、長時間の労働を強いられます。長い時間をかけて、貨物を運ぶため、短時間で労働を終えることはできません。目的地に行くまでの時間に加えて、拠点に戻ってくる時間も考慮すると、どうしても長時間労働となってしまうのです。
途中のパーキングエリアで車中泊をするなど、日を跨いだ勤務も多くあります。加えて、常に同じ姿勢で運転をするため、身体にかかる負荷も大きくなります。運転をする際、常に注意を払うため、精神的にも疲労がたまってきます。
このような過酷な労働環境であるために、運送業にはなかなか若い世代が集まってきません。ドライバーの高齢化が進み、残って働いているドライバーたちの負担がますます増えていくという「負の連鎖」に陥ってしまっているのです。
運送業の労働環境、人手不足とは裏腹に、AmazonなどのECサイトの発達によって、貨物量はますます多くなってきています。運送業者としては、受注した貨物は何としてでも運ばないといけないので、必然的にドライバーたちへの負担を強めていくことになります。このような状態が続けば、運送業のブラック化は、今後も加速していく可能性が高いです。
高収入!?
運送業のいい意味でやばいこと!
ただ、運送業の中でも、職種によっては「高給」をとれるものがあります。それは「大型トラックの長距離ドライバー」です。大型トラックを運転するためには「大型免許」が必要になるのですが、この大型免許を保有しているドライバーが少ないのです。取得難度が高いために、大型免許をもっているだけで、運送業者から引っ張りだことなります。
大型トラックの長距離ドライバーになれば、年収で600万円~700万円を得ることも十分可能です。中距離のドライバーと比べると、数段上の年収となるので、ドライバーとして稼ぎたいと考えている人は「大型免許」の取得を目指してみてください。
注意点として、大型トラックの長距離ドライバーでも、運送業者によって待遇が異なってくる点が挙げられます。残念ながら、運送業者の中には、ドライバーを低賃金で雇って、長時間働かせる業者が少なからずあります。どのような業界でも、このような悪徳な企業は必ず存在するものですが、運送業者の場合、事業で得られる収益がそこまで高くないため、このような悪徳業者が少なくありません。
大型免許をとっても、会社選びは慎重に行うようにしてください。事前に、大型トラックの長距離ドライバーであれば、どれほどの給料が得られるのか、業者に確認をとることをおすすめします。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04685.html