トラックドライバーの代表的な職業病とその対策


4月から初めてトラックドライバーとして勤務し始めた方も多いと思います。入社して1か月ほどが経ち、ようやく緊張も取れて仕事に慣れてくると、気を付けたいのが体調管理です。
トラックドライバーに多い職業病を知り、今のうちから予防に心がけておくことが大切です。トラックドライバーの代表的な職業病を3つ取り上げ、その対策を解説いたします。


腰痛

運送業の現場で最もよく聞く職業病が「腰痛」です。長時間同じ姿勢で運転を続けた上、手荷役による荷物の積み下ろし作業があると、どうしても腰に負担がかかり、連日の作業で次第に「腰痛持ち」が持病になる方も多く見られます。

腰痛を防止するためには、休憩時間や運転中の少しの手持ち時間などに軽いストレッチを行い、体の緊張をほぐして血流をよくすると、疲労の蓄積を緩和することができます。
また、運転中の姿勢にも気をつけて、できるだけ正しい姿勢を保つように心がけるとよいでしょう。前かがみの猫背の姿勢やシートに浅く座って運転をすると、腰に大きな負担がかかり腰痛になりやすくなります。なるべくシートの奥に腰掛け、首と背筋を伸ばして運転するようにしましょう。また、腰痛を防止するクッションなどを使うこともよいでしょう。

なお、手積み手卸し作業がある場合は、荷物を持ち上げる際に、一旦腰を落として体制を整え慎重に持ち上げるようにすると、腰への負担を軽減することが出来ます。不用意に手力だけで無理に持ち上げようとするとギックリ腰やヘルニアなどを発症することがあるので注意してください。手荷役が多い場合は腰痛防止のバンドを巻いて作業することもお勧めです。

また、休日にはリラックスするとともに軽い運動を心がけ、普段使わない筋肉を鍛えておくと、体全体のバランスを保つことができ、腰痛予防になります。

痔・便秘

腰痛の次に多く聞かれる職業病が「痔」と「便秘」です。この二つは相互に関連しており、同時に発症している方が多く見られます。やはり同じ姿勢で長時間運転をしていると肛門周辺の血流が悪化し、痔に悩まされることになります。

また運転中にトイレを我慢することで便秘を誘発し、便秘により痔を発症することも多いのです。予防策としては運行途中のトイレを使える施設や店舗の場所を事前にチェックしておき、なるべく便意を我慢しないで済むように準備しておくことが大切です。今は道路上のトイレの場所が分かる無料のナビソフトがありますので、予めスマートフォンにソフトを入れておくと安心です。

また食事には野菜や果物などの食物繊維を多くとり、バランスの良い食生活を心がけるとよいでしょう。運転途中での昼食時にもラーメンやファーストフードに偏らず、コンビニで買う場合は具材の多い弁当やサラダ、ヨーグルト等を選ぶようにしましょう。

なお腰痛予防と同様にストレッチや運動を心がけることにより、便秘や痔の予防につながりますので、普段から意識して生活の中に取り入れるとよいと思います。

生活習慣病

食生活の偏りや運動不足、喫煙や睡眠不足など、生活の乱れから生じる生活習慣病は今や国民病のように増えてきましたが、トラックドライバーの職業病でもあります。トラックドライバーは昼食を車内で短時間にとる方が多く、ファーストフードなどの手軽に食べられる食事に偏る傾向があります。

また長時間の運転業務で運動不足であり、深夜運行や長時間勤務があると睡眠不足になる方もいます。勤務時間帯が早朝や深夜など不規則になりがちなため、生活習慣病になるリスクが高いのです。予防のためには、普段から毎日血圧計で血圧を測り、体調を確認しておくことが大切です。

バランスの良い食事に心がけ、運動習慣を取り入れ、喫煙者は禁煙に取り組むことが望まれます。