2024年度に新東名高速道路の駿河湾沼津SAから浜松SAの間に深夜の大型トラック向けの自動車専用レーンが設置されることになりました。まだ実証実験の段階ですが、自動運転トラックがいよいよ現実化してくる予感があります。近い将来に自動運転トラックが実現すると運送業界は大きく変化することが予想されます。
第一に、現在深刻な経営課題となっている「人材不足」が緩和される可能性があります。一般道での自動運転についてはインフラや技術上の課題が多く、実現は10年以上先になる見込みですが、数年後に高速道路を利用する長距離幹線輸送の一部が自動運転トラックに置き換わるだけでも大きい効果が期待できます。
自動運転トラックは「2024年問題」を控えて労働時間の短縮が要請される中で、将来における解決の切り札として期待されています。
次に、自動運転トラックによる事故の削減効果が期待されます。自動運転トラックの技術進展による安全性の向上に加え、ドライバーの運転ミスや居眠り運転等による事故を防止することが出来ます。
特に、過労運転を起因とする事故が無くなれば、事故率の低下に大きく寄与すると考えられます。
その他に、物流・ロジスティクスの観点から見ると、運行時間の短縮による物流効率化が期待されます。人間の運転による場合は、労基法や改善基準告示等の法的規制があり、運転時間や休憩時間、休息期間等のルールに則って運行するため、多くの非運転時間を設ける必要がありますが、完全自動運転の場合は24時間運行が可能になり、運行時間の短縮が期待できます。
また、ドライバーの人件費が不要になれば、コストの削減効果が期待できます。さらに自動運転により急加速急発進のない「等速運行」が実現し、低燃費運行が期待できることになります。
先ず、雇用機会が減少することが予想されます。現在は未曽有の人材不足でドライバーの確保に四苦八苦している運送会社が多いのですが、将来、自動トラックが主流になれば、ドライバーを多く雇用する必要がなくなります。
また、自動運転トラックは当初、高速道路を利用した長距離輸送の分野から導入されますので、長距離ドライバーが地場配送部門に異動することになるかもしれません。異動に伴い、乗務車両がトレーラーや大型車から中型車等に変わる可能性もあります。但し、これらの変化はすぐに起こるものではなく、一部の先行事例の企業から徐々に表れてくるでしょう。
ドライバーの皆さんが今すぐ不安に思う必要はありません。
最後に、自動運転トラックの時代に勝ち残る運送会社はどのような会社かについて考えてみたいと思います。AI等による技術革新が急速に進む時代では、旧来の経営のやり方に固執している会社は今後の成長が望めないでしょう。常に最新の技術情報に目を向け、新しい時代の運送業の有り方を柔軟に考えられる経営者のいる会社が存在感を増していきます。
そして社員を大事にして、育成に熱心であり、環境問題等の社会的責任にも積極的に取り組む会社が勝ち残るでしょう。