まだまだ部分的ではありますが、日本は世界でも取り入れられているライドシェアを導入し始めました。
そもそも、なぜ日本はライドシェアの導入に挑戦しているのでしょうか。
今回はさまざまな課題と合わせて、ライドシェアの今後について展望してみましょう。


なぜ日本はライドシェアを導入したのか

2024年になってライドシェアが解禁されたことに伴って、ニュースでも話題を聞くようになっています。
一般のドライバーもタクシーに近い役割で乗客を乗せることができるという概略については、なんとなくながら理解している人も多いでしょう。
ただ一方で、なぜ日本でライドシェアが導入されたのか、いまいちわからないという人もいるのではないでしょうか。
周知の通り、日本では一般人がお金を取って送迎をする、いわゆる白タクを禁止してきました。
それがなぜいまさらライドシェアという名前になって解禁されたのでしょうか。
まずは、タクシードライバーの人手不足という背景を押さえなくてはいけません。
2019年まで日本にはおよそ30万人のタクシー運転手がいました。
一方で、2023年には23万人程度にまで減少してしまっています。
この要因は複数ありますが、一つには2020年から世界を蝕んだ新型コロナウイルスによる影響が挙げられるでしょう。
タクシーの稼ぎ場所といえば夜の繁華街です。
居酒屋で飲んだサラリーマンなどが家に帰るためにタクシーに乗るという光景は、新型コロナウイルスが流行する前はよく見られました。
しかしながら、営業自粛や早い時間のみのアルコール提供などで早い時間に帰宅する人が増え、急速にタクシーの需要はなくなっていきます。
その結果、離職するタクシー運転手が増えてしまいました。

インバウンド復活に伴う需要はタクシーだけでは賄えないからこそライドシェア

2024年現在では、コロナ禍もだいぶ落ち着き、それに伴ってあらためて外国人が日本に観光にやってくるようになってきています。
こうした外国人観光客にとって、タクシーでの移動は極めて便利な移動手段なので需要が高いです。
ただ、いまさら辞めてしまったタクシー運転手を呼び戻すのは相当に難しいでしょう。
こうしたインバウンドを引き留めるためにも、タクシーに代わる移動手段の確保は急務になっていました。
だからこそライドシェアが導入されたのです。
これに加えて、ライドシェアは世界でも少しずつ広がっているサービスであることも導入の後押しになりました。
たとえば、中国人観光客はインバウンドの主軸とも言える存在ですが、実は中国は2010年代前半からさっそくライドシェアを導入していた国です。
ライドシェアが定着している国の人にとって、観光に行った国ではライドシェアを利用することができない、となったら不便に感じるでしょう。
こうしたギャップを埋めるにあたっても、日本でのライドシェア導入は有効なのです。

ライドシェアをより普及していくにあたってクリアすべき課題は?

もっとも、ライドシェア導入にあたっては懸念する声も多いです。
まずは、ドライバーと乗客、双方の被害をいかに防いでいくかはしっかりと考えなくてはいけません。
実はライドシェア導入当初、ドライバーが乗客に暴力を振るったり、乗客がドライバーに暴力を振るったり、といった事件は少なくありませんでした。
これについては、ドライバー側が車内に監視カメラを付けたり、乗客が自衛の手段を持ったうえで車に乗ったり、といった具合に対策が必要になるでしょう。
また、車を運転するうえでは、やはり事故が起きる可能性は避けられません。
この時に責任を取るのが誰なのか、という議論はしっかりと行っておくべきでしょう。
通常ならば事故の責任を取るのはドライバーであるべきですが、ライドシェアの場合はあくまでも仕事で車を運転します。
なので、この場合はライドシェアの運営会社が責任を取るべきではないか、という議論も海外では行われてきました。
現在の日本では、運営会社に代わってタクシー会社が事故が起こった場合の責任を取る、という形式を採用しています。
最後に、ライドシェアがこれまで以上に渋滞を引き起こしてしまうのではないか、という問題についても議論しなくてはいけません。
ライドシェアが普及すれば多くの車が路上を走ることは避けられないでしょう。
となると、交通量が増え、バスや運送会社が割を食ってしまうことが予想されます。
実はライドシェアが導入されている国では、ライドシェアのせいで渋滞が増えているのではないか、というデータも出てきており、日本でもしっかりと導入後の変化を観察しなくてはいけません。

まとめ

ライドシェアは、解決しなければならない課題をたくさん抱えています。
ただ、課題があるからといって導入に慎重になるようでは、それに伴って得られるはずのメリットも失ってしまうでしょう。
今後の日本社会はライドシェア導入に伴う課題を一つひとつクリアしつつ、いかに利益を最大化できるかが焦点になっていくはずです。

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