日本のトラック業界をはじめ、タクシー業界などでもドライバー不足が深刻化しています。
人手不足がどのくらい生じているのか、どのようなことが原因になっているのか、解決法があるのか気になるところです。
ドライバー不足の現状と要因について考察していきましょう。


ドライバー不足の現状を紐解く

ドライバー不足の現状は、大手運送会社、中小の運送会社によっても、それぞれ事情が異なります。
都心部、地方でも人手不足が生じる事情が異なっています。
どのような現状を抱えているのか、ドライバー不足の現状を見ていきましょう。

若手が集まらない

都心部から離れた郊外の片田舎など、地方になるほど若手人材が集まりません。
働くなら都会でといった志向が高く、地元で就職する人も少ないためです。
一方、都心部ではさまざまな仕事があるので、ドライバーの求人に応募してくる割合はそう多く望めません。

離職率が高い

せっかく採用されてもすぐに辞めてしまう人も少なくありません。
想像していたより厳しい職場だったと感じる方も多いです。
一方、年収が上がりにくいなど将来性に疑問を感じて辞めてしまう中堅ドライバーもいます。

事故や病気による休職が多い

ドライバーはプロだから事故は起こりにくいと思われがちですが、オーバーワークになって疲労が溜まりやすいうえ、運転機会と時間が長い分、交通事故のリスクは高まります。
事故によるケガをはじめ、長時間勤務などの影響で体調を崩し、入院治療が必要になることや長期休職して現場を離れるドライバーが出ることも人手不足が生じる原因です。
ギリギリの人数で対応している中小企業や人数の少ない営業所では、たった一人休職者が出るだけでも人手不足に陥ります。

業務量の増大に対応できていない

オンラインショッピングの普及やステイホームなどライフスタイルの変化に伴い、配送する荷物の量が増加傾向にあります。
スピード配送を求められることも多く、日々こなすべき業務量は膨大です。
従来はドライバー不足を感じていなかった企業や営業所でも、業務量の増大に伴い、人手不足が生じることも現状を反映した事態です。

ドライバー不足の要因

では、ドライバー不足が生じている要因を、より詳しく確認していきましょう。

少子化

若手人材が不足している現状の一番の要因は少子化です。
若者の価値観や志向の変化で、そもそもドライバーという職業を志望する人が少なくなっただけでなく、そもそも全体の労働人口がどんどん減少しているのが大きな要因です。
一定割合でドライバー志望者がいたとしても、少子化で母体数が減っています。
少子化は日本の労働市場全体に影響を与えており、あらゆる業界で人材の獲得競争が起きています。
ほかの業界に比べて魅力がないと、他業界に人材が流れてしまい、ドライバー不足が加速するのです。

高齢化

他業界では人手不足を解決するために、高齢者の再雇用や定年延長、異業種からのシニア採用などを積極的に行う傾向が見られます。
ですが、ドライバーの場合、高齢者を気軽に採用するわけにはいきません。
高齢ドライバーによる運転ミスで甚大な事故が起きることや持病で運転中に急に意識を失って事故を招くリスクがあります。
健康診断などで問題が見つかると採用できないケースも多く、ほかの業界ほど高齢者採用に積極的になれないのも人手不足の原因の一つです。

外国人ドライバーの難しさ

他業界では日本の少子高齢化を、外国人採用でカバーしようとする動きが加速しています。
ですが、外国人は言葉の壁もあり、日本語での運転免許試験の合格が難しいなど採用が難しいのが現実です。
トラックドライバーでは大型免許が取れない、タクシードライバーでは地理検定に受からず、さらに取引先や顧客とのコミュニケーションの難しさもあり、一人で業務を担うことが多いドライバーとしての採用は難しいのです。

荷受量の増大と配送スピードの加速化

オンラインショッピングの普及や販売側のサービス競争に伴い、荷物の量がどんどん増え、当日配送や翌日配送などスピードも求められています。
それに対応するだけの人材がいないのが現実です。

働く環境の厳しさ

休む時間も思うように取れない中での長距離運転、休日が十分に取れないなどの過酷な労働環境、福利厚生が充実していないなど働く環境が厳しいのも、応募者が少なく、離職者が多い原因です。

将来性への不安や疑問

長く働いても、ずっと同じ配送の仕事を続けるだけで、キャリアアップもできず、収入アップも望めないのではと思うと離職者が増えます。
キャリアプランニングの提案をし、キャリアアップ制度などを設けることが解決法の一つです。

まとめ

ドライバー不足の現状として、若手が集まらないこと、離職率が高いこと、事故や病気による休職が多いこと、業務量の増大に対応できていないことが挙げられます。
ドライバー不足の主な要因は、少子高齢化、外国人採用の難しさ、荷受量の増大と配送スピードの加速化、働く環境の厳しさ、将来性への不安や疑問です。
まずは自社でどのような原因で人手不足になっているのか探っていきましょう。