現在はあらゆる職種で人手不足の声が聞かれますが、景気に関係なくドライバー職は常に人が集まらない状態が続いています。

どうしてドライバー職では企業努力を行っても人手不足が解消しないのでしょうか?


<目次>


求人募集のメッセージを出す方向性が間違えている

求人募集する場合の媒体というのは、今ではいくつも存在しています。媒体を上手く活用できれば求人確保に大きな効果を得ることができます。その効果によって、一方では大量の求人数を得ている企業もあります。

ところが、ドライバー職の場合には使用している媒体は他の企業と変わらないのですが、求人を求めている個人に向けて発信しているのではなく、求人活動を行っている企業に向けて多く出している傾向があります。

この方法は、求人活動という会社の営業収益とは関係ない業務を別の専門会社に頼めるので、本業に支障を来たすことがないというメリットがあります。

しかし自社で行わないため、実際に業務に就いた場合に事前に知らせていた内容と違う点が出てきて、入社した新人がすぐに退職するというデメリットに繋がります。

ドライバー職というのは一般的に認知されている会社の形態と大きく違っているので、そのような相違点について、自分の口から求職者に伝えることが重要であり、その当然の行動を怠っていては、いつまでも人手不足は解消しないのです。


他業種との差別化が図られておらず魅力が感じられない

どのような業務でもいいところがあれば悪いところもあり、それが仕事を行う上での興味という部分に直結する場合があります。

しかし、ドライバー職は決定的に通常のサラリーマンと業務内容が異なっているのに、その違いについてアピールの具合が足りないと言えます。

では、ドライバー職と一般的なサラリーマンとの業務内容の違いとは、どのようなものでしょうか?

常に車両を運転している

これはドライバー職であれば当然なのですが、ドライバー職に就業したことが無い人には経験がないので、「就業時間中は、ずっと車両の中にいる」という実感が理解できません。

他の業種では屋外で作業するものを除き、ほとんどが建物の中で作業することになりますが、ドライバー職を希望する人には、こういった仕事環境の違いについてちゃんと理解させておかなければ早期退職に繋がってしまいます。

実際の業務を行っていない待ち時間も拘束される

ドライバー職では業務を行っていなくても、荷受け先の受け取り状況や荷物の受け取り時間指定によって待ち時間がとても長くなります。バスのように「時間が来れば勝手に車両を走らす」業務以外では、旅客ドライバーでも客待ちで拘束時間がとても長くなります。

車両勤務に慣れてくると、車中で快適に過ごす方法を見つけ出せますが、経験がないと何をしていればわからず、苦痛に感じることがあります。

それでいて時間給という業務形態で仕事をしていなければ無給になるので、これは時間が経てば給料が発生する他の就業形態しか知らない人では我慢できない可能性があります。

この業務内容の違いを理解していない人が多く、その行き違いにより、早期退職してしまう人は少なくありません。しかし、考え方を変えれば上司や同僚の目がないため、好きなように時間が使えます。

仕事を怠けられるとは意味が違いますが、この拘束時間の長さも上手く利用できればドライバー職のメリットにもなります。

ところが、企業側からは拘束時間が長いことも、どうやってうまく時間を使うかといった内容についてもほとんど知らされていません。

タクシーのように営業収入に応じて報酬が支払われるというのは強調していますが、これは実際の業務で収益をあげなければならないため、魅力とは限らない現状があります。

給料が高いのは誰もが魅力を感じるところですが、それ以上に業務内容についてしっかりとアピールし、その内容を認識した上で応募してくれる人を探す必要があります。


全体的に求人倍率が高いため、そもそも人が集まらないと諦めている

昨今は、求人している企業数が多く、様々な職業で人手不足が顕著になっています。ただし事務職といったホワイトカラーは以前より希望する人が多く、それほど問題にはなっておらず、やはり労務職であるブルーカラーへの影響が強くなっています。

そのため人材がどうしても欲しい業種では、あらゆる努力を行って人材確保に努めていますが、ドライバー職というのは、同じ方法でのみ求人活動を行っていないため、求人している方の目に届かないことが多くなります。

人材が欲しいのに、なぜ人材確保に努めない傾向があるのでしょうか?

人材がいなければ、他の会社に業務請負をすればいいと考えている

これは運送会社でよく行われているのですが、仕事量が増加すると人を増やす努力を一応はしますが、「集まらなければ他社に請け負いをしてもらえばいい」と考えている会社は少なくありません。

中小の運送会社は、自社で仕事を直接受注するのが難しくなっているため、大手からの仕事依頼を受け入れているところが多くなっています。

また個人事業主で運送業を行っている人は、ほとんどが大手から仕事を回してもらっているので、大手運送会社からすれば「自分のところで対応できなければ他社に回せばいい」と考えています。

この他社頼みの風習は以前からあり、そのために人材確保にはあまり企業努力を行わなくなっているのです。

特別な運転免許が必要になるので所有していない人は相手にしない

タクシードライバーでは二種免許所持者を自分の会社で養成していますが、他の旅客でも貨物でもドライバーに必要な免許の養成を会社で行わないところが圧倒的に多くなっています。

会社によっては取得してからならばその費用を支払ってくれるところもありますが、大型免許などは取得するために最低でも10万円の費用が必要になります。ドライバー職に興味があっても最初に自腹で支払わなければいけない免許費用は大きな負担に感じます。

ドライバーは免許がなければ業務に就けないことは最初から分かっているため、後で支払うのであれば、初めから費用を出すという方法を取らない限りは、人を集めるのは難しいと言えます。

まとめ

ドライバー職に、人材が集まりにくい原因についてご説明しました。ドライバー職は他にも事故を起すと自己負担をしなければいけなかったり、個人宅の宅配では再配達率が高く、雑務が増えるなど様々な問題があります。

また古くからある業種なため、あまり変化を好まなかったのですが、宅配が急増したり、労働環境の悪化により、問題がマスコミやネットを中心に広く知られるようになり、会社としても前向きに対応をしている段階です。

現在は、その移行期間中なので大きな変化があるとは言えませんが、ドライバーのために良い方向に向かっています。よって、求職者に対するアプローチのやり方や企業側の意識の改革が重要になってきます。


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